1989 Fiscal Year Annual Research Report
亀裂性岩盤内における熱・放射性核種輸送に関する研究
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63550369
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤間 聡 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (00002915)
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Keywords | 亀裂性岩盤 / スキャンライン調査 / 統計的解析 / 放射性核種 / モンテカルロ法 / 移流拡散方程式 / 巨視的分散係数 |
Research Abstract |
本年度の研究実施項目である亀裂性岩盤内の放射性核種移行の数値シミュレ-ションを行い、次の結果を得た。 1.岩盤亀裂のモデル化 実岩盤露頭面におけるスキャンライン調査資料を統計的に解析した結果、亀裂長の分布形および亀裂間隔は指数関数で近似しうることから、亀裂長の従う確率密度関数の定式化が可能となり、亀裂系の空間構造を定量的に評価できる。従って、実岩盤における亀裂系の分布性状を十分に反映しうるモデル化が可能になった。この場合、必要な情報は露頭面の亀裂のみでよく、撮影された写真画像より比較的容易に得ることができる。 2.亀裂性岩盤内の放射性核種の移行・分散 亀裂モデルにおける核種の移行は確率的なものであり、核種の複雑な不規則運動をランダム運動とみなし、モンテカルロ法を用いたラグランジェ的アプロ-チ(粒子追跡法)により移行・分散予測を行った。 1)亀裂系が等方性の性状を示す領域においては、主流に沿う縦方向の濃度分布の分散(variance)は流下経過時間に伴いほぼ直線的に増加する。この傾向線の勾配から巨視的縦方向分散係数が求められる。シミュレ-ションで得られた巨視的分散係数のオ-ダは1.0×10^3cm^2/hであり、この値は放射性核種の一つである^<90>Srの分子拡散係数の4×10^<-2>cm^2/hの約25,000倍に達する。 2)核種の移行濃度分布は、亀裂系の異方性と流速変動に起因する歪みを有し、場合によっては双峰型の分布形を呈する。従って、濃度分布が正規分布形である場合のみ適用できる移流拡散方程式を用いた解法よりも本解法が亀裂性岩盤内の核種の移行・分散予測には有効である。
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