1988 Fiscal Year Annual Research Report
固液反応界面における界面形状及び溶質分布に及ぼす振動の影響
Project/Area Number |
63550499
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加藤 寛 埼玉大学, 工学部, 助教授 (80107375)
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Keywords | 固液界面 / 溶解 / 溶質分布 / 界面形状 / 振動 |
Research Abstract |
本年度は、Al及びAl-Cu合金を用いて溶解過程に及ぼす基盤予熱の影響に関する測定を行うとともに、振動付加実験装置の試作を行った。 基盤予熱の影響を調べる実験では、縦型炉内に置いた鋳型中に各基盤を挿入し、700℃程度に予熱したAl-4wt%cu合金の溶湯を注入した。基盤の一部を溶解させた後に鋳塊下端より水冷し、基盤部から凝固を行わせた。得られた鋳塊より試料を切り出し、固液界面の形状、界面近傍における溶質分布などを測定した。その結果、Al-Cu合金基盤においては基盤の溶解に伴って溶質界面前方に組成的加熱現象が生じた。また、均質化処理した基盤中の溶質が再び偏析し、凝固時の溶質偏析に類似した偏析模様を生じた。なお、純Al基盤ではこのような現象は観察さえなかった。 振動付加実験の予備として、純Alを純Al溶湯およびAl-Cu合金溶湯中に挿入し、その溶解過程を観察した。その結果、溶解速度は溶湯中の溶質量により変化した。 基盤材に往復振動を与えるための加振部と金属溶湯を保持するための縦型炉を組み合せた実験装置を試作した。この後、装置の性能検査を兼ねて、振動付加実験を一部行った。基盤材として銅板を選び、各基盤に所定の振動(毎分0〜700回)を与えた状態で、700℃程度に予熱したAl-4wt%Cu合金溶湯中に挿入した。1分経過した後に基盤材を水中に急冷した。得られた試料より、溶解界面を含むように観察用試料を切り出し、基盤の溶解量、固液界面の形状を測定した。その結果、振動数の増加に従って基盤の溶解速度が上昇した。また、振動を与えない場合は界面が局所的に溶解したが、振動を与えることにより均一な溶解に移行していった。 来年度は、振動付加実験を本格的に行う予定である。
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