1988 Fiscal Year Annual Research Report
超高真空その場観察電子顕微鏡法によるMBE成長薄膜の動的観察
Project/Area Number |
63550543
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大坂 敏明 早稲田大学, 理工学部, 教授 (50112991)
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Keywords | 超高真空その場観察電子顕微鏡法 / MBE成長 / 表面緩和構造 |
Research Abstract |
MBE薄膜の成長過程を明らかにするため、当該年度はまず、基板となるInSb最表面評価を行い、以下に述べる2点について明らかにした。 (1)加熱清浄化過程:{111}面においては清浄化の初期、非晶質層からのSb┣_<2┫>O┣_<5┫>への結晶化とエピタキシーが起こり、その後これが脱離することによって清浄化が進む。これに対して{001}面では初期段階より多結晶酸化物が存在し加熱のみによっては容易に清浄化されない。このことから非晶質層はSb水酸化物からなる一種の保護膜として働いている可能性が高いことを指摘した。また、清浄化の十分でない下地上ではホモエピタキシャル成長で結晶性の良い成長層は得られず、下地表面の原子的レベルでの清浄度が重要であることを明らかとした。 (2)In-rich粒子:(111)A面、(111)B面をそれぞれ420℃、450℃に加熱することにより、表面からSbが優先的に脱離し、従来の手法では検出が困難であるIn-rich粒子が生成することを見出した。これらの粒子の生成温度および再配列構造の変態温度の面依存性は表面構造の違い、特にSb原子との結合の違いを反映しているものと考えることができる。このような局所的構造の情報は従来の回折法を主体とした平均的な原子配列の情報からは得られなかったものであり、結果を補完してゆくものと考えられる。また、これらの粒子はホモエピタキシャル成長に際してはIn原子の供給源となり表面組成をIn-rich側へ変化させる。たとえば、in-rich粒子の周囲に(111)B3x3構造が現われ、これは基板温度の上昇とともに拡大する。この結果はIn原子が表面を拡販し、2次元層を形成すると考えることにより説明することができる。 次年度以降、このように素性の明らかになったInSb基板上にIn等のヘテロエピタキシャル成長を起こさせ、その成長素過程を明らかにしていく予定である。
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