1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63550581
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 泰則 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (50101259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 國郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30027817)
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Keywords | セラミックス / クリ-プ / 変形 / ムライト / 結晶化ガラス / 破壊 |
Research Abstract |
前年度は、粒界にガラス相を残す結晶化ガラス(βスポジュメン)の高温変形試験を曲げ及び圧縮様式で行い、その結果の一部を発表した。セラミックス(とくに酸化物多結晶)の変形に及ぼす液相の効果については今後ともさらに実験を続ける予定である。一方粒界相を含まないシリケ-トの代表として近年開発された高純度微粒ムライト焼結体は耐クリ-プ性の観点から興味深く、前年度に続いて本年度の主要課題とした。多結晶の粒界液相はしばしば不純物起源のシリケ-トより成り、一般に変形を促進させるとともに粒界キャビテ-ションの原因となる。このことは、MgOや結晶化ガラスに対しても観察された。それに対し結晶性のシリケ-トが本来難変形性の物質であることは、Si-Oの強固な結合から予想される。尤も、これはSiO_4単位の結合様式にも関連し、例えばフォルステライト(Mg_2SiO_4)は単独のSiO_4単位から構成されており、格子中に水が入ると変形が大きく促進されるといわれている。ムライトも同様にSiO_4の単離型であるが酸化物中最も優れた耐クリ-プ性の材料であるとともに,高温強度、クリ-プ破壊強度も大きく、高温構造材料として優れたものであることがわかった。変形は典型的な拡散クリ-プであり、ムライト中の構成元素の拡散が遅いことが微粒であるにもかかわらず難変形性であることの原因と考えられる。ただし、粒径が大きくなると(>2μm)粒界キャビティが発生しやすくなることから、粒界に残留する微量ガラス相の影響などが今後の検討課題として残った。さらに、高温下で観測されたひずみ速度と応力指数の増大についても現在その機構の解明のため研究を継続している。また、キャビティの発生とクリ-プ破壊に関しては、MgO、Y-TZP、結晶化ガラスなど種々の材料について一部の結果を発表してきたが、本課題を発展させて今後の研究を継続する予定である。
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[Publications] Y.Okamoto: "Diffusional Creep of Fine-Grained Oxide Ceramics:Yttria-Stabilized Tetragonal Zirconia and β-Spodumene Glass Ceramic" Proceedings of the MRS International Meeting on Advanced Materials. 7. 233-241 (1989)
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[Publications] Y.Okamoto: "Creep Deformation Mechanisma in Oxides and Deformation of Spinel Ferrites" Rheology of Solids and of the Earth. 83-104 (1989)
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[Publications] 岡本泰則: "クリ-プとクリ-プ破壊" セラミックス. 25. 124-128 (1990)
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[Publications] Y.Okamoto: "Creep Deformation of Polycrystalline Mullite" J.European Ceram.Soc.
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[Publications] 日本セラミックス協会(編): "セラミックス工学ハンドブック" 技報堂出版, 2521 (1989)
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[Publications] 斉藤進六(編): "先端材料応用事典" 産業調査会, (1990)