1989 Fiscal Year Annual Research Report
優先晶出可能な不斉化合物の結晶相の解析と光学分割への応用
Project/Area Number |
63550615
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
野平 博之 埼玉大学, 工学部, 教授 (50008819)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
照沼 大陽 埼玉大学, 工学部, 助教授 (10008857)
宮下 晃 埼玉大学, 工学部, 助教授 (90132729)
|
Keywords | 光学分割 / 優先晶出法 / 二成分系融解相図 / α-エチルベンジルアミン / ケトプロフェン / 光学活性ジホスフィン / 光学活性有機ケイ素化合物 |
Research Abstract |
優先晶出可能な不斉化合物の探索、その結晶相の解析、光学分割プロセスの確立などを目的とし、以下の成果を得た。 1.cis-2-ベンズアミドシクロヘキサンカルボン酸(1__〜)とα-エチルベンジルアミン(2__〜)およびα-メチルベンジルアミン(3__〜)とケイ皮酸(4__〜)の優先晶出可能な2組の塩について、種々の光学純度の塩の融解温度を示差走査熱量計(DSC)により測定し、ラセミ混合物特有の二成分系融解相図を得た。 2.前項の成果の応用として、(±)-α-エチルベンジルアミン(2__〜)の光学分割方法を確立し、高光学純度の(+)及び(-)-2を調製した。 3.光学活性な2__〜を用いて、非ステロイド系抗炎症剤ケトプロフェン(5__〜)の光学分割プロセスを確立した。また、5__〜がラセミ化合物であることを確認し、DSC測定により、ラセミ化合物に特有の二成分系融解相図を作成した。 4.前年度に引続き、光学分割されたビフェニル型ジホスフィンオキシド(6__〜)の立体保持還元反応とそれらを配位子とする不斉錯体触媒の合成法を検討した。その結果、光学活性な6__〜は、HSiCl_3NEt_3混合系、140℃で対応する光学活性なジホスフィン(7)に光学純度を損うことなく還元され、しかもRhおよびRuにキレ-ト型で配位した新規な不斉錯体を形成した。 5.新規化合物ベンジル-2-フラニルフェニルシリルメチルアミン(8__〜)を合成し、光学分割してその活性体を得た。化合物8__〜を種々のカルボン酸とのジアステレオマ-アミドに誘導し、NMRスペクトルを測定したところ、ケイ素上のメチル基のケミカルシフトが大きく分離することが明らかとなり、光学純度検定試剤として有効であることがわかった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 野平博之: "結晶化法による有機化合物の光学分割" 日本化学会誌. 903-914 (1989)
-
[Publications] Akira MIYASHITA: "Synthesis of Atropisomeric 2,2′-Bis(dicyclohexyl phos phino)-6,6′ dimethyl-1,1′-biphenyl)and Its use in Rh(I)catalyzed Asymmetric Hydrogenation of Prochiral Olefins" Chem.Lett. 1849-1852 (1989)
-
[Publications] Hiroyuki NOHIRA: "Synthesis and Mesomorphic Properties of Ferroelectric Liquid Crystals with a Fluorinated Asymmetric Frame" Molecular Crystals Liquid Crystals. (1990)
-
[Publications] 照沼大陽: "光学活性N,N-ジメチル-2-(メチルフェニル-O-トリルシロキシ)エチルアミン(シラオルフェナドリン)の合成" 日本化学会誌. (1990)
-
[Publications] 野平博之,西郷和彦,野平美紗子,照沼大陽: "光学活性体-その有機工業化学" 朝倉書店, 129 (1989)
-
[Publications] 山中宏,野平博之,照沼大陽他: "日本化学会編季刊化学総説光学異性体の分離" 学会出版センタ-, 238 (1989)