1988 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素置換基修飾によるアゾ色素類のフォトクロミズム特性の制御
Project/Area Number |
63550628
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小林 宏 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10037731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 淳士 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (70184611)
園田 高明 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (90108770)
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Keywords | 含フッ素フェニルアゾ色素 / フォトクロミズム / シス / トランス熱異性化速度 / フッ素置換基効果 / 陰イオン型相間移動触媒 |
Research Abstract |
1.含フッ素フェニルアゾ色素類の合成:(1)フェニル基上の種々の位置にフッ素及びトリフルオロメチル基を有するベンゼンジアゾニウム塩の前駆体として対応するアニリンを合成した。(2)これらのアニリンから誘導したジアゾニウム塩とアニソール、α-メトキシナフタレン、N-エチルカルバゾール、N,N-ジメチルアニリン等とのカップリング反応によりアゾベンゼン色素類を合成した。(3)シス/トランス異性化挙動におけるフッ素置換体の特徴を明確にするために、フッ素置換体と同じ位置に塩素、臭素、ニトロ基、メチル基等で置換した類似体を合成した。(4)前二項の合成において、陰イオン型相間移動触媒系を用いてシアゾ化とカップリング反応を同じ反応器中で連続して行うワンポット操作法により簡便かつ高収率で目的物を得、この操作法の利点を例証した。 2.溶液状態における置換フェニルアゾ色素類の可視・紫外吸収スペクトルの測定:(1)無極性及び極性溶媒として、それぞれ、ヘキサン及びエタノールを用いて、アゾ色素類の電子スペクトルを測定し、各色素のスペクトル特性値を確定した。(2)フッ素及びトリフルオロメチル置換体と他の置換基を有する類似体との吸収スペクトル極大のシフト挙動の比較から、溶液状態における色素分子の立体配座解析を行った。 3.シス/トランス異性化速度の測定:(1)ヘキサン、二塩化メタン、及びエタノールの三種の極性の異なる溶液中で、紫外光照射下にアゾ色素を光定常状態に達せしめた後、トランス体相当の吸収極大波長における吸光度の経時変化から速度定数の解析を行った。(2)異性化速度に対する溶媒極性の効果は小さく、反転機構による異性化を示唆している。(3)異性化速度に対するフッ素置換基の遅延効果は置換位置によって大きく異なり、アゾ基両オルト位において最大であった。
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