1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヤブツバキ(Camellia japonica)の分布および分化に関する研究
Project/Area Number |
63560030
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
上本 俊平 岩手大学, 農学部, 文部教官(教授) (50038155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 元庸 岩手大学, 農学部, 助教授 (50021697)
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Keywords | ツバキ属 / ヤブツバキ / 分布の北限 / 耐寒性 / アイソザイム |
Research Abstract |
ヤブツバキ(Camellia japonica)の分布および分化に関する研究 ヤブツバキはその祖系を中国に発するとはいえ我が国独特のツバキ属中の一種であり、今間氷期における西表島から青森県深浦町までの北進による分布の拡大が確認されている。とくにその分布の北上にともなう変種、品種の出現には眼を見はるものがあり、自然分布の個体群の調査はそれらを裏付ける資料として重要視されている。著者らはその実態を知る上で、今年度は東北北部に於けるヤブツバキ自然個体群と人工植栽個体群との調査と材料収集を行った。その結果、自然個体群としては日本海沿岸では青森県深浦町舮作の小半島の南面の群落であり、太平洋沿岸では岩手県大船渡市海岸が北限であることが判明した。また人工植栽個体では群落は青森県陸奥湾夏泊半島先端の椿山であり、単樹では日本海沿岸では津軽半島南部、太平洋沿岸では岩手県田野畑村羅賀が北限であると推定された。これらの群落からはいずれも挿木による繁殖のための挿〓を採集し、現在繁殖中である。また各地より採集した冬芽(葉芽)については、現在苞数について調査中である。 一方個体群の遺伝子構成のヘテロ性を調査するため、酵素学的にアイソザイムパターンの分析を予備的に実施し、分布が北限に近づく程天然林ではヘテロ性が少ない事が明らかとなった。 なお、平成元年度には3月末から4月にかけて日本各地に於ける開花期の調査を行うとともに、苞数調査による耐寒性強弱の推定、および酸素学的手法による北限地天然林と人工林の区別を推定する技術の確立を行いたい。
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