1988 Fiscal Year Annual Research Report
カンキツにおけるアイソザイム対立遺伝子の構造および進化と系統発生に関する研究
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63560031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若菜 章 九州大学, 農学部, 助手 (10158579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 真一 九州大学, 農学部, 助教授 (40154356)
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Keywords | グルタミン酸オキザロ酢酸アミノ基転移酵素(GOT) / アイソザイム / 遺伝子重複 / 欠失 / 系統発生 / カンキツ / 対立遺伝子 / 系統発生学 |
Research Abstract |
約300種類のカンキツおよび近縁属を供試し、葉に含まれるGOTアイソザイムの電気泳動パターンを調査した。その結果、これらのカンキツが多形であることを確認した。 さらに特定のバンディングパターンを持つ親数品種を供試し、F_1を作成した。また複雑なバンディングパターンを示す数品種の花粉を採取した。これらのF_1と花粉のバンディングパターンを比較検討し、(1)GOTアイソザイムを支配する遺伝子座が2つ(Got-1とGot-2)あること、(2)Got-2では遺伝子重複があること確認した。 以上の結果をもとに、特にGot-2における重複構造と対立遺伝子の対応関係を明らかにするために、さらに乗換えが想定される両親のF_1を作成した。6交配組合せにおけるF_1の解析の結果、重複していると見なされたGOT-2の遺伝子座(Got-2′とGot-2″とする)間には連鎖がないものと推定された。但し、その一部は現在も解析中である。 次にGot-2′とGot-2″における対立遺伝子の対応関係を雑種実生における表現型の違いから解析した。遺伝子座Got-2′では一部B・I遺伝子も見られたがF遺伝子が圧倒的に多く、Got-2″ではB・E・G・I及び欠失が見られた。特に後者の遺伝子座ではブンタン系を中心として多数の欠失が見られ、また両遺伝子座に共通する対立遺伝子B・Iが存在することから、後者が遺伝子重複によって新しくできた遺伝子座である可能性が示唆される。 現在これらの解析結果をもとに、系統・品種あるいは種属間の関係(遺伝的距離)を系統発生学的側面から分析中である。次年度はさらに他の酵素のアイソザイム分析を同様な手法を用いて行ない、さらに遺伝子や系統発生に関するとりまとめを行う予定である。
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Research Products
(1 results)