1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63560057
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Research Institution | Kanto Junior College |
Principal Investigator |
伊藤 智夫 関東短期大学, 初等教育科, 教授 (50168358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜野 国勝 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60015089)
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Keywords | ヤママユガ科 / 野生絹糸虫類 / 類縁関係 / 亜種関係 / エステラ-ゼ / アイソザイム |
Research Abstract |
野生の絹糸虫類の中で代表的グル-プとされるヤママユガ科のうち、Samia属のエリサンおよびシンジュサンについてその種間雑種をつくり、Nativeーポリアクリルアクドゲル電気泳動法を用してエステラ-ゼアイソザイムを調べ、類縁関係を比較検討した。 その結果、両種の孵化幼虫では共通するバンドが検出されず、泳動パタ-ンに顕著な差がみられた。種間雑種の成虫頭部について泳動パタ-ンを比べると、正逆何れの交雑においてもパタ-ンに大きな違いは見られず、両種の中間あるいはややシンジュサンに近いものであった。また、同じくヤママユガ科に属するAnteraea属のテンサンについても5齢幼虫の体液、中腸、マルピギ-管、脂肪体、絹糸腺等についてエステラ-ゼのザイモグラムを比較したところ、中腸および絹糸腺では強い活性帯が検出されたが、精巣と脳では活性が見られなかった。中腸および絹糸腺について発育に伴うザイモグラムの経時変化を調べた結果、活性帯に顕著な差異は見られなかった。 野生絹糸虫のアイソザイム分析に資するため、105品種のカイコの消化液アミラ-ゼのアイソザイムについて等電点電気泳動により検討したところ、陰極側の活性帯の数からO型、4型、5型の3種が見いだされた。O型にはアミラ-ゼ活性の低い品種が多く、5型のバンドのうち等電点の最間高いものを除く4種と、4型のアイソザイムが同一であった。SDSーPAGEによりその分子量は約53500と推定された。4型、5型共に最適pHは9.2であり、pH8から12までの範囲では活性比較的安定であった。 我国におけるヤママユガ科に属する野生絹糸虫の命名について文献学的に調査し、野生絹糸虫の類縁関係や我国に渡来してきた経緯などについて考察した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 伊藤 智夫: "絹糸虫名雑考" 関東短期大学紀要. 第35集. 61-75 (1990)
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[Publications] 斎藤 準・浜野 国勝・伊藤 智夫: "ヤマユガ科(Saturniidae)における類縁関係のエステラ-ゼ・ザイモグラムによる比較解析"
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[Publications] ITO,T.,XU,J.,HAMANO,K.,INOKUCHI,T.& YAMADA,M.: "Amino acid composition of cocoon shell of the mulberry white caterpillar,Rondotia menciana,and the wild silkworm,Bombyx mandarina"
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[Publications] 浅川 秀哉・浜野 国勝・伊藤 智夫: "カイコ消化液アミラ-ゼアイソザイムの性状"