1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経堤細胞の器官形成に係る役割について(免疫および組織化学的方法による解析)
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63570021
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
安田 佳子 近畿大学, 医学部解剖学第1, 助教授 (10025629)
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Keywords | 8日マウス胎児 / ビタミンA酸 / 頭部神経堤細胞 / 神経上皮 / 遊走 / 脱分化 / 電子顕微鏡 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
8日マウス胚の神経堤細胞は神経上皮内と神経上皮下の間葉組織内に遊走しているものとがある。妊娠8日のマウスにビタミンA酸(以下RAと略す)を投与し、その胎児の頭部神経上皮内および遊走神経堤細胞におけるRAの影響をみたところ以下のことが判明した。材料と方法:ICR系妊娠マウスを使用した。腟栓を認めた日を妊娠0日と起算し、その妊娠8日にRAのオリーブ油溶液を母獣体重Kg当り60又は40mg投与し、投与後27-30時間(電顕・光顕用)あるいは51-54時間(免疫染色用)に母獣を屠殺し胎児を取り出した。常法に従い、光顕・電顕観察とクリオスタットで10-30μmの凍結切片を作製しcholine acetyl transferase(CAT)の抗体を用いてABC法によりdiamino benzidineにて発色させ神経堤細胞を同定した。結果:光顕レベルでは対照群(オリーブ油投与)で83.3%が神経管閉鎖を示し、神経上皮は神経芽細胞を有する辺縁帯・中間帯および脳室帯に識別出来かつ神経堤細胞の遊走も同定出来た。実験群では60mg投与群で100%、40mg投与群で92.3%の胎児が外脳を示した。この神経上皮は54%が組織配列を乱れを示し、2種類に分類出来た。:【○!1】終脳または中脳原基部位で腫瘍様の増殖を示した。【○!2】嗅板から脊髄にいたる全神経上皮に上皮の増殖・肥厚・減形成を示した。また【○!2】の異常上皮下の神経堤細胞も変性を下した。電顕レベルでは上記【○!2】において神経上皮は単一種の細胞に変化し、神経芽細胞や神経上皮細胞の特性の消失を認めた。細胞は核が大きく巨大な核小体をもちヘテロクロマチンの凝集が顕著であった。細胞質はribosomeが殆んどmonosomeの形状を示していた。遊走神経堤細胞も同様の所見を示した。免疫染色では終脳・間脳・中脳部位にCAT陽性細胞の出現を認めたが、実験群では認めなかった。以上のことからRAは分化進行中の神経堤細胞の脱分化を誘発すると考えられる。以後その脱分化の機序を検討してゆく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 安田佳子: 解剖学雑誌. 63. 323 (1988)
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[Publications] Yoshiko Yasuda.: Analytical Cellular Pathology.
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[Publications] Yoshiko Yasuda.: American Journal of Anatomy.