1989 Fiscal Year Annual Research Report
イムノブロット法による精液・膣液混合斑の血液型判定
Project/Area Number |
63570279
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
津田 亮一 久留米大学, 医学部, 助手 (20098875)
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Keywords | 血液型検査 / ABO式血液型 / 精液 / 膣液 / 性犯罪 / 電気泳動 |
Research Abstract |
今年度は、精漿中のABO式血液型活性を有する糖蛋白質α_2ーSeminogly CO Protein(α_2ーSGP)を型判定マ-カ-として、SDS・PAG電気泳動ーイムノブロット法を用いた精液・膣液混合斑からの血液型判定法を試みた。 実験にはOSe型、ABse型、ABSe型の各精漿、およびABSe型膣液を試料として用いた。泳動条件はPAG濃度7.5%、200V、45分間泳動後、ニトロセルロ-ス膜に100V、1時間電気転写した。ついで、常法に従ってウシアルブミン(1%)、一次抗体および酵素標識二次抗体の順に感作を行い、3.3´ージアミノベンチジンにて発色させた。 まず、精漿中のα_2ーSGPのSDS・PAG電気泳動における位置、および膣液中のα_2ーSGPの有無を検討した結果、α_2ーSGPは高分子域に集中して泳動された。これに対して、膣液ではα_2ーSGPに相当するバンドを認めなかった。このことは、膣液中のABO式血液型物質と精漿中のABO式血液型物質であるα_2ーSGPとでは、血液型活性を示す糖鎖の構造は同じであるとしても、蛋白コアは互に異なると考えられた。 そこで、精漿と膣液の泳動を行い、それぞれの型活性部を検討したところ、精漿の場合には濃縮ゲル内とα_2ーSGPと同じ部位に相当して血液型活性が認められた。これに対して、膣液の場合には、濃縮ゲルには型活性を認めなかったが、分離ゲルにおいてはその泳動領域全体にわたり広く血液型活性が認められた。 このため、精液、膣液が混合した資料の場合には、α_2ーSGPを血液型判定のマ-カ-とすると、膣液の血液型活性によって覆い隠され、精漿の血液型を判定できないことが判明した。しかし、α_2ーSGPと重さならない部位、たとえば膣液ではα_2ーSGPよりも低分子域の型活性の有無を判定の基準とすれば、膣液の血液型を直接判定することができると考えられるが、今後更に膣液の例数を増して検討する必要がある。
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