1989 Fiscal Year Annual Research Report
肺疾患におけるサイトカインに対する自己抗体の測定法の確立とその病態生理的意義
Project/Area Number |
63570311
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 有成 東京大学, 医学部(病), 助手 (80133073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 雄二 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | インタ-フェロン / インタ-フェロン抗体 / 自己抗体 / 肝疾患 / インタ-フェロンα / ウイルス肝炎 / 急性肝炎 / 慢性肝炎 |
Research Abstract |
前年度(昭和63年度)に確立したELISA法を用いて、ヒト組み換え型インタ-フェロンα-2a(r-IFN-α-2a)投与を行ったウイルス性慢性肝炎患者で、抗体の出現と治療効果に及ぼす影響を検討した。その結果、抗体の出現に伴い血清2',5'-olygoadenylate synthetase活性の低下と肝炎の再燃とが認められる症例が存在した。しかし、B型慢性肝炎で、r-IFN-α-2aに対する抗体の出現にもかかわらず、seroconversionを認めた症例もあった。こうした症例もあることから、臨床経過に及ぼす抗体の影響に関してはさらに症例の集積が必要と考えられた。急性肝炎41例についても、その経過中に抗体が出現するかどうかを調べた。その結果、IgGクラスの抗体がA型およびB型の急性肝炎の約50%に出現した。しかし、非A非B型では8.3%にのみ出現した。IgMクラスの抗体は、A型急性肝炎で80%と高率であり、B型で30%、非A非B型で33%であった。いずれのクラスの抗体も発症3週間目で出現率は最も高く、一過性の出現であった。急性肝炎で出現する抗体のタイタ-は、自己免疫性肝炎での自然発生的な抗体やウイルス性慢性肝炎においてr-IFN-α-2a投与後に出現する抗体のタイタ-と比較して低値であった。こうしたことと、急性肝炎の慢性化とどういう関係にあるかは今後の興味ある課題と考えられる。さらに、患者血清中に出現するこうした抗体が、実際に臨床経過にどんな影響を及ぼすか、あるいは免疫担当細胞にどんな効果を与えるかまでは、今回詳しく検討できなかった。今回のr-IFN-α-2aに対する抗体の測定法の確立をモデルとして、今後、他のサイトカインに対する抗体も全く同様に行えると考えられる。
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[Publications] 池田有成,三宅和彦,新井弘子,山中正己,山田春木,戸田剛太郎,岡博: "慢性肝疾患における抗インタ-フェロン抗体-ELISA法による新しい測定法の検討-(抄録)" 肝臓. 29. 63 (1988)
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[Publications] 池田有成,三宅和彦,新井弘子,山中正己,山田春木,戸田剛太郎,岡博: "慢性肝疾患における抗インタ-フェロン抗体-ELISA法による新しい測定法の検討-" 肝臓. 30. 381-382 (1989)
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[Publications] 池田有成,戸田剛太郎,三宅和彦: "抗IFN抗体" BIO medica. 4. 908-912 (1989)
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[Publications] 荘司貞志,細井仁,宮崎裕三,切羽真澄,若島将伸,横手美輝洋,近藤朝明,池田有成,久山泰,滝川一,大沢仁,三宅和彦,山中正己: "IFN治療における抗IFN抗体の慢性肝炎の臨床経過に対する影響について(抄録)" 日本消化器病学会雑誌. 86. 514 (1989)
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[Publications] Ikeda,Y.,Miyake,K.,Yamanaka,M.,Yamada,H.,Toda,G.and Oka,H.: "Detection of antibody to anti-interferon-alpha-2a(IFN-2a)in patients with liver disease(abstract)" Hepatology. 8. 1444 (1988)
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[Publications] Ikeda,Y.,Miyake,K.,Toda,G.,Yamada,H.,Yamanaka,M.and Oka,H.: "Detection of anti-interferon alpha-2a antibodies in chronic liver disease" J.Gastroenterol.Hepatol.4. 411-418 (1989)