1988 Fiscal Year Annual Research Report
神経系培養細胞を用いた抗うつ薬の作用機序に関する研究(II)ー細胞内情報伝達系に対する作用の検討ー
Project/Area Number |
63570511
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
樋口 輝彦 埼玉医科大学, 講師 (90105883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老沢 尚 埼玉医科大学, 助手 (00201369)
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Keywords | 抗うつ薬 / 神経系培養細胞 / βーレセプター / cAMP / デシプラミン / ミアンセリン / ハロペリドール |
Research Abstract |
私達の研究目的はβレセプターを有する神経系培養細胞を用いて抗うつ薬の作用機序を明らかにすることにある。すでに、私達はうつ薬はβレセプターには直接影響しないが、セカンド・メッセンジャーであるcAMPの反応性を低下させることを明らかにした。昭和63年度の研究目的は1)このcAMPの反応性の低下が抗うつ薬に特異的であるか2)抗うつ薬の種類および濃度といかなる関係があるかを明らかにすることにあった。この1)2)を明らかにするための具体的研究計画はa)抗うつ作用を有しない他の向精神薬を抗うつ薬と同様の条件下で培養液に加えて培養し、イソプロテレノールに対するcAMPの反応性を検討する。b)抗うつ薬のうち、構造および作用機序が異なるとされる薬剤を用いて培養しcAMPの反応性を検討するの2点であった。 a)については神経遮断薬であるハロペリドールの10^<-5>〜10^<-7>Mを用いて検討した。その結果、デシプラミンと同様ハロペリドールにおいても10^<-5>Mの高い濃度ではイソプロテレノール刺激によるcAMPの反応性の低下が生ずることが明らかとなった。b)については四環系抗うつ薬の一つであるミアンセリンを用いて検討した。その結果ミアンセリンにおいてもデシプラミンと同様に10^<-5>Mにおいてのみイソプロテレノール刺激に対するcAMPの反応性の低下がみられた。またミアンセリンの光学異性体である(+)ミアンセリンと(-)ミアンセリンの比較を行った結果いずれも10^<-5>MでcAMPの反応性の低下が見られた。以上の結果から、10^<-5>Mという高濃度でcAMPの反応性が低下するが、10^<-5>Mという濃度が薬理作用を検討するのに至適な濃度であるかどうかは問題であると考えられ、この点を明らかにするための基礎実験が必要であると思われた。
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Research Products
(1 results)