1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性細小血管症に対する膵移植の適応に関する実験的研究
Project/Area Number |
63570605
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
野沢 真澄 明海大学, 歯学部, 教授 (00084880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 一郎 明海大学, 歯学部, 講師 (20160541)
土田 弘基 国立佐倉病院, 内科, 医長
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Keywords | 糖尿病性細小血管症 / 膵移植 / 自然発症糖尿病ラット / BBラット糖尿病 / う島炎 / 糸球体メサンギウム / 糸球体末梢系蹄基底膜 |
Research Abstract |
自然発症(インスリン依存性)BBラット糖尿病に対し、糖尿病未発症BBラットをdonorとして、膵移植を行ない次の成果が得られた。 1.膵移植17例中11例(71%)は、8カ月以上生存した。移植前に認められた体重減少、尿糖、高血糖が膵移植により改善され、長期間正常な耐糖能を維持した。また、iv GTTにおけるインスリン反応も改善され、血糖曲線は正常化した。2.BBラット糖尿病の膵組織像では膵島は減少、小さく萎縮し、細胞浸潤を来し、AF染色陰性であり、B細胞の存在が認められなかった。移植後の宿主膵島も移植前と同様、B細胞の脱落が認められた。3.未発症BBラットをdonorとする膵移植では、4カ月までに17例中5例(29%)に糖尿病のみを発症を来したが、未発症例の膵組織は膵移植と同様、ほぼ正常の形態を示し、AF陰性の正常B細胞の存在が認められた。他方、発症例の移植膵はBBラット糖尿病のそれと同じく、膵島はAF染色陰性、B細胞の存在が認められなかった。4.同一donorを用いての膵移植後の再発症の有無の機序については不明で、また発症時期(直後、4カ月経過の中期)とは無関係であり、移植時のICS抗体の有無と相関が認められなかった。5.既存の糖尿病性細小血管病変に対する膵移植の効果を知るため、腎病変をとりあげ、移植前、後2、4、8カ月と腎生検し光顕、電顕抗体により形態学的に検索中である。なお、糖尿病発症4カ月の光顕では糸球体メサンギウムの拡大、電顕ではメサンギウム領域の拡大、GBMの肥厚が認められた。膵移植により、これら既存の腎病変の進展がみられず、膵移植が中期病変の進展を阻止する効果が得られた。糸球体係蹄面積におけるメサンギウムの占有率、BGMの厚さなど定量的な比較ならびに免疫組織的検討は現在なされている。
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Research Products
(2 results)