1989 Fiscal Year Annual Research Report
膵十二指腸移植における組織適合性の意義および拒絶反応診断に関する実験的臨床的研究
Project/Area Number |
63570607
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Research Institution | THE INSTITUTE OF MEDICAL SCIENCE, THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
内田 久則 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30050420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
別宮 好文 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70199454)
佐丸 義夫 東京大学, 医科学研究所, 講師 (10012733)
西村 洋治 東京大学, 医科学研究所, 教務職員
杉本 久之 東京大学, 医科学研究所, 講師 (20107428)
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Keywords | イヌ膵十二指腸移植 / 腸管ドレナ-ジ法 / 膀胱ドレナ-ジ法 / 膵管処理法の比較 / サイクロスポリン / 低Na・Cl性酸血症 |
Research Abstract |
Sollingerらは移植膵の膵管あるいは十二指腸を膀胱と吻合し、尿中に排泄される膵液中のアミラ-ゼを分析定量することにより、移植膵の拒絶反応診断が可能になることを報告した。しかし、この方法は膵液を腸管にドレナ-ジする手技に比べ非生理的であり、尿中へ大量のアルカリ液を排泄することにより酸血症の発生、感染を起こした場合の膵液中の酵素活性化による出血性膀胱炎の発生など固有の合併症も問題となる。したがって、臨床膵移植の現状では、移植膵十二指腸の小腸ドレナ-ジを主として行うグル-プと膀胱ドレナ-ジを行うグル-プに二分され、どちらがより良い方法か、意見の一致をみていない。われわれはイヌにおいて移植膵十二指腸を膀胱に吻合する手技と小腸に吻合する手技を行い、移植後早期の合併症、急性拒絶反応の診断、移植後生存成績などにつき比較検討を行った。 体重9.8〜15.4Kgの雑種成犬のオスとメスを用い膵十二指腸移植を行った。第1群と第2群は膀胱ドレナ-ジを行い、それぞれ非免疫抑制と免疫抑制群(ciclosporin)とした。第3群は小腸ドレナ-ジ群で免疫抑制を行った。第1群のイヌ5頭の平均生存日数は8.6±2.9(SD)日、第2群のイヌ5頭は16.0±5.8(SD)日、第3群の5頭は157.8±98.1(SD)日であった。第1群、第2群のイヌの60%が低Na・Cl性酸血症で死亡し、腸管ドレナ-ジ群と比較し、膀胱ドレナ-ジ群では有為に血清NaとCl低値が認められた。膀胱ドレナ-ジ法では、移植膵十二指腸から分泌される膵液と十二指腸が尿中へ失われ、このような病態になると思われた。 以上の結果、膵移植の臨床応用の手術術式として腸管ドレナ-ジ法は、拒絶反応診断手技が開発されれば、膀胱ドレナ-ジ法より生理的であり長期生存が得られることからも、より望ましい術式と考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Nakayama,H.Uchida K.,K.Yokota,K.Sato,Y.Masaki,K.Aso: "Combined pancreas and kidney transplantation with or without cyclosporine" Transplantation Proceedings. 18(6). 1798-1801 (1986)
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[Publications] Y.Nakayama,H.Uchida K.,K.Yamagishi,K.Yokota,K.Sato,Y.Masaki,Y.Fujita: "Experimental pancreas transplantation in littermate and random dogs" Transplantation Proceedings. 19(1). 2809-2811 (1989)
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[Publications] 西村洋治,内田久則,他: "イヌ膵十二指腸移植における膀胱ドレナ-ジ法と小腸ドレナ-ジ法の比較検討" 移植.
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[Publications] 内田久則: "新外科学大系12-膵器移植-組織適合性" 中山書店, 81-126 (1989)