1988 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷における核磁気共鳴画像と病理組織所見の比較検討
Project/Area Number |
63570690
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
角家 暁 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90064518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 秀明 金沢医科大学, 医学部, 助手 (50184346)
中村 勉 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (30064603)
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Keywords | 実験脊髄損傷 / MRI / 脊髄浮腫 / 脊髄内血腫 |
Research Abstract |
〔実験の目的〕臨床的にMRIで脊髄損傷は髄内輝度変化として描出されるがその輝度変化に対応する病理組織像は未だ明らかではない。本実験は実験脊髄損傷モデルを作成し、そのMRI像を撮像し、(1)MRI所見が臨床的に見られる輝度変化と一致するか、(2)その病理組織像はどうか、(3)病理所見での損傷の程度とMRI所見との関係、(4)損傷の経時的変化とMRI像との対比等について検討する。 〔方法〕実験動物はラット(ウィスター系、体重130〜180g)12匹を使用した。脊髄損傷モデルの作成は、下以胸髄を硬膜外よりBiemer脳血管遮断用クリップで10〜20秒間、挟み様々な程度の脊髄損傷を作成した。 MRI撮像は実験用FT-NMR(日本電子社製)装置を用い、脊髄損傷部をSE法(spin echo法)で、臨床で使用しているのと同じパルス系列を選び、TI強調像、プロトン画像、T2強調像の横断像を撮像した。 〔結果〕まず予備実験でラット3匹について正常脊髄の撮像を行った。実験ではラット下位胸髄の横断面の形態と輝度を確認した。 脊髄損傷モデルでは、クリップの脊髄挾撃時間はそれぞれ5、10、15、20秒間の群に分けて、損傷作成より2〜4時間後MRI画像を撮像した。その結果5、10秒(3匹)では画像上変化を認めなかった。15、20秒群(6匹)では、4例に損傷部位の脊髄は正常コントロール群に比較して、肥大し、高輝度を呈した。この結果は臨床で見られる所見とほぼ一致した。病理組織では脊髄の浮腫と点状出血をみた。病理組織上、1例でhemato myeliaがみられたが、MRI画像上同定できなかった。 〔結論〕実験脊髄損傷モデルと臨床脊髄損傷例のMRI画像の輝度変化及び脊髄の浮腫による肥大はよく一致するが、実験モデルで脊髄内血腫をMRIで同定できなかった。向後この問題と脊髄損傷の急性期から慢性期にかけてMRI画像変化について検討してゆく予定です。
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Research Products
(1 results)