1988 Fiscal Year Annual Research Report
筋の長さの変更に対する骨格筋腺維の順応に関する実験的研究
Project/Area Number |
63570694
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玉井 和哉 東京大学, 医学部, 助手 (40137831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 一郎 東北大学, 医学部, 助教授 (90010040)
黒川 高秀 東京大学, 医学部, 教授 (90010298)
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Keywords | 筋節長 / 筋伸張 / 生体内計測 / 順応 / 光回折法 |
Research Abstract |
1.筋節長と筋の長さとを生体内で測定する方法の開発 筋の長さの変更に対する筋腺維の順応を観察する手段として,生体内での筋節長測定法を工夫した。すなわちマウス後肢をギプス固定し,ギプス下腿部を開窓して長趾伸筋を露出した。ヘリウム-ネオンレーザー光を筋に照射することによって生じる回折縞の間隔から回折式にもとづいて筋節長を算出した。筋節長測定終了後,固定肢位を変えないで長趾伸筋の筋の長さ(筋性部分の長さ)を実測した。 2.生体内における静止筋の長さと筋節長との関係(急性実験) 8周令マウスの生理的関節可動域内での筋節長と筋長を観察した。すなわちマウス後肢を種々の位置にギプス固定し,上述の方法により筋節長と筋長を測定した。この結果筋節長は2.4μmから3.2μmの間に,筋長は9.5mmから12.2mmの間にあり,両者の間には相関係数0.805(P<0.01)の正の相関があった。 3.伸張を持続した筋の生体内筋節長の測定(慢性実験) 長さ変更の一つのモデルとして最大伸張位を保持した場合をとり上げ,このような筋の内部構築の変化を筋節長の変化を指標として観察した。すなわち8週令マウスの長趾伸筋を最大伸張位にギプス固定して0,1,3,5,7,14日間固定を続けた後,上述の方法で筋節長を測定したところ,筋節長(平均,単位μm)は,0日(固定直後)で2.98(n=9)であったものが,1日後,2.94(n=8),3日後,2.86(n=10),5日後,2.83(n=10),7日後,2.77(n=10),14日後,2.78(n=7)と次第に短かくなり,5日以降は対照に比して有意の短縮がみられた。またこの短縮は約7日で停止するものと思われた。筋が伸張されることによって伸ばされた筋節長は一定日数で生理的関節可動域のほぼ中間に対応する長さまでもどるものと考えられる。
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