1988 Fiscal Year Annual Research Report
血管収縮性に及ぼす麻酔薬作用の臓器特異性に関する研究
Project/Area Number |
63570722
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑埜 義雄 京都大学, 医学部, 助教授 (70115913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健次郎 京都大学, 医学部, 教授 (20025620)
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Keywords | ハロセン / イソフルレン / 血管平滑筋 / 肝血流 / αー受容体 |
Research Abstract |
揮発生麻酔薬は交感神経系、血管および組織代謝に影響し、臓器血流を変化させる。本研究は、摘出血管を用い、臓器血管に対する交感神経刺激効果に及ぼす麻酔薬の作用を明らかにし、麻酔薬の血管作用に臓器特異性があるか否かを検討することである。 方法:雑種成犬より腸間膜動脈、肝動脈および腎動脈を摘出し、ラセン状条片を作成した。標本を95%ーO_2、5%ーCO_2で飽和した37℃リンゲル液中に1.5gの張力を負荷して懸垂し、その等尺性張力変化を記録した。動脈をフェニレフリン10^<-7>〜5×10^<-7>Mで予め収縮させて、収縮が安定したところでハロセン或はイソフルレンを投与した。麻酔薬の反応が安定したところで、パパベリン10^<-4>Mを投与し、動脈の最大弛緩を得た。ハロセンとイソフルレンはそれぞれの気化器に上記混合ガスを通気して、投与した。パパベリンの反応を100%としてその相対値で比較した。 結果:(1)肝動脈において、ハロセン1ー3MAC(0.75ー2.25%)およびイソフルレン1ー3MAC(1.5ー3.45%)は濃度依存性に弛緩反応を引き起こした。3MACでのハロセンとイソフルレンの弛緩はそれぞれ29.1±6.5%(n=20)および55.4±4.9%(n=18)でイソフルレンの弛緩作用はハロセンに比し有意に大であった。(2)腸間膜動脈において、ハロセンは1MACでは殆ど張力に影響しなかったが、2ー3MACで動脈をさらに収縮させた。一方、イソフルレンは1ー3MACで濃度依存性に動脈を弛緩させた。 結論:(1)血管のαー受容体刺激効果に対し、揮発性麻酔薬の作用には腹部臓器においても特異性がある。(2)ハロセン麻酔ではイソフルレン麻酔に比し、肝血流がより減少することが示唆される。(3)(2)の機構としてハロセンによる心拍出量の低下に加え、肝と腸間膜動脈のαー受容体刺激効果に対するハロセンの作用が一部関与していると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshio Hatano;et al.: Anesthesiology. 70. (1989)
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[Publications] Toda,N.;Hatano,Y.;Mori,K.: American Journal of Physiology. (1989)
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[Publications] 西和田誠,中村久美,畑埜義雄,薬師寺勤,森健次郎,奥田孝雄: 臨床薬理. (1989)