1988 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の代謝産物フッ素の排泄に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63570725
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
向田 圭子 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (20182066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 博之 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (60136083)
藤井 宏融 広島大学, 医学部, 講師 (60034021)
盛生 倫夫 広島大学, 医学部, 教授 (80033950)
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Keywords | 吸入麻酔薬 / 代謝産物 / フッ素 / 薬動力学 |
Research Abstract |
吸入麻酔薬の多くはフッ化炭化水素である。従ってこれらの吸入麻酔薬は生体で脱フッ素化され、その副産物としてフッ素が尿中に排泄される。フッ素の排泄動態を解析することによりフッ素化吸入麻酔薬の生体内での代謝を推測できる。本研究は代謝物としてのフッ素の排泄を薬動力学的に分析する基礎的データを動物実験で求め、その結果もとにセボフルレン、エンフルレンの代謝産物としてのフッ素の排泄動態を推測し、さらにその結果からフッ素と肝腎障害の関連をも明らかにしようとするころにある。 前年度は実験動物としてウサギを用いフッ化ナトリウムを静脈に注入し48時間経時的に血液、尿を採取、イオンクロマトグラフィーで無機フッ素を測定した。これらのデータを薬動力学的に解析し、フッ素の半減期、排泄係数、尿中排泄の割合、分布容積等を産出した。 今年度は実験動物としてウサギを用い1、2または4%のセボフルレンを吸入させ、48時間経時的に血液、尿を採取した。採取した血液および尿を除蛋白し、カチオンフィルター、マイクロフィルターで処理したのち、イオンクロマトグラフィーで無機フッ素イオンを測定した。血中セボフルレン濃度はガスクロマトグラフィーで測定した。これらのデータを薬動力学的に解析し、代謝産物としてのフッ素の排泄相の半減期は約10時間、排泄係数は0.0001前後、分布容積は約50litterでありフッ化ナトリウムの静注の場合とほぼ同じであった。この結果からセボフルレン吸入後、セボフルレンは速に排泄され、吸入中止後に代謝されるセボフルレンは極微量であると結論した。
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