1988 Fiscal Year Annual Research Report
フローサイトメトリーを用いた新しい抗癌剤感受性試験
Project/Area Number |
63570737
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 和行 東北大学, 医 学部, 助手 (10133977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃木 達夫 東北大学, 医学部 附属病院, 助手 (90197898)
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Keywords | 抗癌剤感受性試験 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
今年度までの研究で以下のことが明らかになった。1.泌尿器科悪性主 要の短期細胞培養は、尿路移行上皮癌については、機械的分散を行いRPMI-16 40+10%胎児牛血清を培地として用いることで、比較的容易に行える。ただ、こ の際に問題となる線維芽細胞の混入はいまだ解決されておらず、次年度もさらに検討 を要する。2.抗癌剤の接触による効果と考えられる移行上皮癌細胞の細胞形態の変 化は核の濃縮ないし核の崩壊と24時間以内の比較的早期に認められた。次年度は、 症例の数を増すと共に、抗癌剤の種類を変えた場合につき検討する予定である。3. 抗癌剤の接触により細胞形態に変化の生じた症例では、フローサイトメトリーで測定 したDNAヒストグラム上でも変化を認め、その変化は細胞形態の変化よりより早期 におきていた。4.DNAヒストグラムから定量的に細胞動態の変化を求めようと試 みたが、移行上皮癌では1つの腫瘍がDNA ploidyの異なる複数のクローン よりなることが少なくなく、定量的な細胞動態解析ができるものが少ないという結果 であった。そこで現在、フローサイトメーターを換えて抗Brdu抗体を用いたAT P量の測定は1×10^4個と少ない数の細胞で可能であり、ATP量は細胞のト リパンブルーによるviability判定とよく相関した。本法にはまた、簡便で かつ短時間で行えるという利点を合わせ持っている。 次年度には、2、3の結果に癌細胞のATP量の測定結果も加えて解析し、癌細 胞の抗癌剤の接触によってもたらされるDNAヒストグラム・細胞動態・細胞形態の 細胞死に至までの変化を明らかにし抗癌剤の新しい感受性試験への応用を図る予定で ある。
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