1989 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植におけるリンパ球動態の観察と免疫抑制療法への応用に関する研究
Project/Area Number |
63570759
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐藤 威 東海大学, 医学部, 教授 (20055792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 真 東海大学, 医学部, 助手 (00214817)
飛田 美穂 東海大学, 医学部, 助教授 (20147169)
平賀 聖悟 東海大学, 医学部, 助教授 (10114779)
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Keywords | 腎移植 / リンパ球混合培養試験 / 免疫抑制療法 / 免疫抑制性リンパ球 / シクロスポリン / 末梢血単球Fcレセプタ-活性 |
Research Abstract |
当施設において生体腎移植を受けた患者とその腎提供者のうち20名を対象として、移植前後でリンパ球混合培養試験(MLR)を行い、免疫抑制療法との関係、移植後年数、移植腎機能などとの相関について検討した。さらに現在主流となっている免疫抑性剤シクロスポリンを投与している患者5名の移植後末梢血リンパ球を培養し、このリンパ球を移植前MLRに加えることにより、このリンパ球が持っている免疫学的効果を検討した。次に移植患者17名につき、末梢血単球レセプタ-活性を測定し、各種免疫抑制剤の影響を検討した。以下の成績を得た。 1.免疫抑制剤イムランを投与している腎移植患者では、移植後のMLRに変化は認められなかった。 2.免疫抑制剤シクロスポリンを投与している腎移植患者では、移植後のMLRは、移植前のMLRに比べて有意に低下していた。さらに、このMLR抑制効果は、腎提供者のみならず、第三者のリンパ球に対するMLRについても認められた, 3.シクロスポリンを投与されている腎移植患者のリンパ球は腎提供者に対するMLRを抑制し、第三者に対するMLRを抑制しなかった。 4.この事から、シクロスポリンを免疫抑制剤としている腎移植症例のリンパ球は、腎提供者特異的免疫抑制作用を持つことが強く示唆された。 5.このリンパ球のモノクロナ-ル化は今後の課題となった。 6.特にシクロシポリン投与は単球機能を濃度依存的に抑制すると考えられた。 以上により現在腎移植後の免疫抑制療法の主流となっているシクロシポリンがリンパ球動態に与える種々の興味ある知見が得られ、ことに腎提供者特異的免疫抑制作用を有するリンパ球の出現は、これをモノクロ-ン化することにより将来腎移植の臨床に応用可能と考えられた。
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