1988 Fiscal Year Annual Research Report
多嚢胞性卵巣症候群の病因としてのドーパミン系の検討
Project/Area Number |
63570790
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
森 宏之 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60010328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 良 大分医科大学, 医学部, 助手 (80165787)
香山 文美 大分医科大学, 医学部, 講師 (10152886)
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Keywords | 多嚢胞性卵巣症候群 / ドーパミン / プロラクチン |
Research Abstract |
多嚢胞性卵巣症候群患者の血中LHの基礎分泌は著しく亢進していたが、脈性分泌の頻度、基礎値に対する振巾の比は正常婦人との差を認めなかった。このことは、視床下部でのLHRH分泌のパターンは正常に保たれているものの、基礎分泌の亢進が想定される結果であった。これにドーパミン作動薬を投与すると、LHの基礎分泌は徐々に低下し、3〜4ケ月の経過で70%の例がほぼ正常或に低下し、排卵の回復が認められた。この結果が視床下部ドーパミン系への作用であるか否かは明らかにし得なかった。すなわち、多嚢胞性卵巣症候群患者には、その30%に高プロラクチン血症がみられ、また30%に潜在性高プロラクチン血症が合併しており、それが副腎のDHASの生成を刺激し、再にDHASがエストロゲンに転換されて病態の悪化に関与しているものか、又は同一の病因であるドーパミンの失調が、LH分泌・プロラクチン分泌の両者に関与しているかは明らかではなかった。このことは病因・病態を明らかにする上で重要な点であると考えられた。視床下部のドーパミン機構の失調が一次的病因とするならば、ドーパミン作動薬投与の効果発現に長期を要すること、さらに、その3割はドーパミン作動薬の投与によっても病態の改善がみられなかったことは、病因を中枢のドーパミン失調と考えることに否定的であり、むしろ卵巣の形態的、および内分泌的な特殊性、さらには副腎におけるステロイド生成の特殊性が二次的にもたらした結果と考えることがポイントと考えられる。またドーパミン作動薬の効果は、中枢直接作用でなく、プロラクチン抑制が副腎アンドロゲン分泌の低下をひき起こした結果と考えた方が合理的であると考えられた。したがって今後はプロラクチン分泌系の病因に関わる意義を明らかにするとともに、卵巣の機能形態的特異性について検討を行なってゆく必要があると考えられた。
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Research Products
(1 results)