1988 Fiscal Year Annual Research Report
網膜剥離の発生過程および治癒過程における網膜色素上皮の役割
Project/Area Number |
63570828
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 眞一郎 京都大学, 医学部, 講師 (30201445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 雅子 京都大学, 医学部, 助手 (50201687)
小椋 祐一郎 京都大学, 医学部, 助手 (70191963)
石郷岡 均 京都大学, 医学部, 講師 (80135590)
本田 孔士 京都大学, 医学部, 教授 (90026930)
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Keywords | 網膜剥離 / 網膜色素上皮 / ERG / c波 / 網膜光凝固術 / 眼虚血 / バリヤー機能 / 増殖性硝子体網膜症 |
Research Abstract |
網膜下腔にマイクロピペットを刺入し、実験的網膜剥離を作製する手技は格段に向上し、大小各種大きさの網膜剥離を家兎眼において作ることが出来るようになり、満足できるモデルとして確立された。このモデルを用いて、剥離初期から復位後まで時間経過を追って、網膜色素上皮(RPE)の形態学的変化が主として電子顕微鏡を用いて研究された。網膜剥離によるRPEのバリヤー機構の破たん、網膜復位後のその修復のメカニズムが明らかになってきた。電気生理学的観察では大きな収穫が得られた。RPEの機能を反映するERGC波は網膜剥離治療法の1つである網膜光凝固術によって、a,b波よりも大きな影響を受けた。それは光凝固における熱変換が、主として網膜色素上皮層で起こり、それによる網膜色素上皮層の破壊が、電気的極性を喪失させ、網膜下腔のイオン動態を修飾するからであると考えられた。さらに光凝固後のc波の経時的変化からRPEのバリヤー機能を回復(瘢痕化の完成を意味する)に要する時間は光凝固の程度に比例し、又最終的なc波の回復度は凝固面積に依存することがわかった。網膜剥離の重篤な合併症である増殖性硝子体網膜症にRPEが関与しているといわれているが、その点についての新しい手がかりが得られた。眼圧を上げることにより完全な眼虚血を負荷し(ERGによって完全な網膜虚血が得られたことを確認する)、その後の変化を形態学的、電気生理学的に長期観察したところ、RPEの増殖傾向を確認することが出来た。これは、網膜剥離がなくとも、網膜虚血のみによってRPEが増殖することを示唆し、組織化学的手法などマーカーを用いた検索により、虚血によるRPEの増殖という現象を細胞レベルで研究する有力なモデルを提供できるであろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 新井三樹 他: 日本眼科紀要.
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[Publications] 河野眞一郎 他: 日本眼科学会雑誌.
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[Publications] Huei-Chun Cuang;et al.: Investigative Ophthalmology and Visual Science.