1989 Fiscal Year Annual Research Report
歯と歯周硬組織形成細胞の細胞内カルシウム局在性に関する研究
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63570847
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| Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
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Principal Investigator |
高野 吉郎 北海道大学, 歯学部, 助教授 (90126425)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 恒之 北海道大学, 歯学部, 助手 (80200822)
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| Keywords | エナメル器 / ラット / 切歯 / エナメル質 / カルシウム / 組織化学 / 急速凍結 / 凍結置換 |
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| Research Abstract |
我々はこれまでの研究で、ラット切歯エナメル器の細胞内カルシウムの組織化学的染色を試み、エナメル器ては形成期、成熟期を通じてエナメル芽細胞のみが細胞質に高濃度のカルシウムを含有することを明らかにしてきた。本年度は組織化学的カルシウム染色法で、ラットの切歯及び臼歯歯胚の細胞内カルシウムの分布を更に詳しく検索するとともに、隣接切片上で、細胞内カルシウム局在野の電顕観察とX腺微小部分析も試みた。その結果、ラット臼歯歯胚では、切歯と同様、エナメル器のカルシウム反応はエナメル芽細胞のミトコンドリアと一部の管状胞状構造に限局しており、中間層その他の細胞に特別なカルシウムの集積がないことが判った。エナメル芽細胞の電顕観察により、エナメル質形成端付近の細胞内小管状胞状構造内に、カルシウムを含有する小電子密顆粒と微細結晶状構造の存在が確認され、細胞内カルシウム輸送路とのこれら小器官との関係が示唆された。一方、歯髄では切歯、臼歯を問わず、象牙芽細胞の細胞質にエナメル芽細胞同様の強いカルシウム反応が見られた。しかし他の歯髄細胞に反応は認められず、分化期以前の内エナメル上皮、及びそれに対応する歯乳頭細胞にもカルシウムの反応は見られなかった。歯根形成期の歯胚では、断裂した上皮鞘細胞間に侵入した結合組織細胞、及びセメント芽細胞に明瞭なカルシウム反応が認められ、歯槽骨の骨芽細胞と破骨細胞にも強いカルシウム反応を認めた。以上のごとく本研究では、歯胚と歯周硬組織の形成細胞と吸収細胞が、細胞質に比較的高濃度のカルシウムを含有することが明らかとなり、その局在性と基質の石灰化に深い相関が示唆された。これらの細胞内カルシウムの生理的意義の解明が今後推進すべき重要な研究課題である。
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[Publications] TAKANO YOSHIRO: "Histochemical localization of calcium in the enamel organ of rat incisors in early-stage amelogenesis." Acta Anatomica. 134. 305-311 (1989)
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[Publications] 高野吉郎: "エナメル質石灰化の組織化学・カルシウム沈着のメカニズムをめぐって" 医学のあゆみ. 148. 215-218 (1989)
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[Publications] 高野吉郎: "カルシウム輸送上皮における細胞内カルシウム局在について-成熟期エナメル芽細胞層と腸管吸収上皮の比較-" エナメル質比較発生学懇話会記録. 1. 5-8 (1989)
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[Publications] 脇田稔: "魚類エナメル質と象牙質の基質線維-ニザダイの歯について-" エナメル質比較発生学懇話会記録. 1. 33-36 (1989)
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[Publications] ICHIKAWA HIROYUKI: "Substance P-like immunoreactive subepithelial nerve plexusesin the labial mucosa of the mouse." Acta Anatomica. 134. 283-285 (1989)
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[Publications] MATSUO SABUROU: "Localization of two distinct acid phosphatases in secretory ameloblasts of rat molar tooth germs." Archives of oral Biology. 34. 599-608 (1989)
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[Publications] TAKIGAWA MASAHARU: "Establishment of a clonal human chondrosarcoma cell line with cartilage phenotypes." Cancer Research. 49. 3996-4002 (1989)
