1989 Fiscal Year Annual Research Report
放射線によるレジン重合を応用した実験的抜歯創の治癒過程における新生血管の研究
Project/Area Number |
63570859
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
岸 好彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084779)
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Keywords | 抜歯創 / 新生血管 / 歯槽骨 / 歯根膜血管網 / 血管鋳型標本 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
前年度は抜歯後5日、10日、15日目の抜歯創の治癒過程について報告した。今年度も引き続き抜歯後30日目の治癒経過を検索した。その結果、 1.術後30日目:創口は痕跡的になり、上皮治癒部にはわずかに浅い溝だけが認められた。これを血管鋳型標本として新生血管を走査電顕で観察したところ、抜歯創の血管構築は全体として規則性を増し、特に抜歯窩の血管網は円形の規則的な網目を持ったものへと改築されており、窩壁に沿って分布していた拡張した静脈は消失し、これに代わって抜歯窩の中央を走向する口径の大きな細静脈が出現し、この静脈に歯肉からの細枝が流入していた。創口部の血管網をみると、左右側の血管網が交通した癒合部では、新生血管の増加が不充分で一部無血管部が存在していた。この部分の組織像を切片で確認したところ、上皮で覆われているが上皮の厚径は薄く、固有層の乳頭の形成も不完全であった。抜歯窩の新生骨梁は増殖を続け、相互に結合して蜂巣状に大きく成長し抜歯窩を満たしていた。この骨梁内の血管網を三次元的にみると、多角立方体の網目を形成し、これを構成してる血管の口径は術後15日目と比較して細くなっており、血管自体も変化していることを示唆している。抜歯窩のうち特に窩底付近では、縦走する主幹動静脈に毛細血管が絡み付き、主幹を結んで立体的な格子上の網目を形成しており、主幹静脈は口径が一定せずまた盲端で終わっていることもあり、これらはいわゆる洞様の血管に移行しているもので、正常な骨髄の血管網へと改築されていく過程と考えられる。 2.放射線によるレジン重合の応用:十分応用できることが確認できたが、放射線照射によるタンパク変性が起こり、強度の酸、アルカリ溶液を用いても組織を溶解することが困難であった。この点は引き続き実験を必要とし、必ずや克服できるものと考える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 川戸二三江: "家兎耳介における動静脈の吻合の立体的観察" 解剖学雑誌. 64. 185-195 (1989)
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[Publications] Yoshiaki Kishi: "Vascular architecture of cat pulp using corrosive resin cast under scanning electron microscope" J of Endodontics. 15. 479-483 (1989)
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[Publications] Naohiro Shimozato: "A three dimentional study on changes of the microvascular architecture after pulpotomy in canines" Microcirculation anual. 55-56 (1989)
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[Publications] Yoshiaki Kishi: "Vascular network in papillae of dog oral mucosa using corrosive resin casts with scanning electron microscopy" Anatomical Record. (1990)
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[Publications] 高橋和人: "自分でつくるぬりえ-口腔解剖ノ-ト-(第2版)" 学建書院, 102 (1989)