1988 Fiscal Year Annual Research Report
カラーコンピュータを用いた口腔癌および前癌病変の早期診断に関する基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
63570930
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
天笠 光雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (00014332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉増 秀實 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (70137933)
塩田 重利 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (70041267)
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Keywords | カラーコンピュータ / 口腔癌 / 前癌病変 |
Research Abstract |
ヒトの口腔癌および前癌病変とされている白板症の色彩を視感比色法により記録し、病理組織所見と対比させた。その結果、口腔癌の色彩は色相10RP〜5Y、明度3〜8、彩度1〜12の範囲に分布しており、白板症の色彩は色相10P〜5Y、明度3〜9、彩度1〜10の範囲に分布していた。さらに白板症の色彩は明度5以上彩度2以下の白斑部色彩群と明度5未満彩度4以上の紅斑部色彩群とに大別された。白板症の色彩と病理組織学的所見との関連では、上皮の厚さが厚いものほど、また上皮表面の凹凸のつよいものほど、白斑部の明度は高く、間質乳頭部上皮の菲薄化、びらん形成、および上皮下結合組織中に血管の拡張・増生を認める症例では、高彩度色が出現していた。また上皮性異形成の軽度な症例では白斑部の明度は高く、紅斑部は認めないか、認めてもその彩度はあまり高くなかったのに対し、異形成中等度〜高度な症例では、白斑部の明度は低く、全例に紅斑を認めた。以上のように白板症のうちでも病理組織学的な悪性潜在能の差異により、その色彩に変化のあることが判明した。カラーコンピュータを用いた測色データにおいても同様の傾向が認められるものの、視感比色法と比べるとまだ測定条件にもとずく測定値のバラツキが大きい。口腔癌、前癌病変とも表面が粗造で凹凸不整なため測色時の外光の影響がでやすく、しかも口腔内では常に唾液がこれらの病変の表面をおおっているため測色時に影響を与えるものと考えられる。カラーコンピュータを用いた測色データをさらに蓄積したうえで、適切な補正法の確立が今後必要とされる。 さらにハムスターを用いての発癌実験を行ない、その色彩所見をカラーコンピュータを用いて経時的に計測し、前癌病変および早期癌の色彩学的差異、悪性化の色彩学的特徴を探究していく予定であるが、現在はその予備実験を行なっている段階である。
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