1988 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の新しい診断ならびに治療法の開発に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
63570933
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堀越 勝 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00014283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草間 幹夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60124690)
岩佐 俊明 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10107302)
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Keywords | 完全合成無蛋白培地 / 口腔癌 / 扁平上皮癌 / IL-1 / DNA合成促進物質 / 骨吸収 / 無血清培養 / 細胞成長因子 |
Research Abstract |
完全合成無蛋白培地PF86-1の開発に成功した。この培地はアミノ酸、ビタミン、金属塩の他に核酸前駆物質および少量の不飽和脂肪酸を含む完全合成無蛋白培地であり、これを用いて現在までに5種類の口腔癌由来および1種類の外陰部由来の計6種類のヒト扁平上皮癌細胞株の連続継代培養を可能とした。 次にPF86-1で増殖する扁平上皮癌細胞による生理活性物質の産生の可能性について検討した。活性は主にBALB313細胞のDNA合成促進活性系およびマウス頭蓋骨を用いた骨吸収系で検討した。先の6種の細胞全ての培養上清中にDNA合成促進活性が存在した。このうち2種類の細胞Ca9-22PFおよびA431PFの培養上清をダイアフローソンブレンYM10にて濃縮したところ蛋白量に比例してBALB3T3のDNA合成は促進された。この濃縮上清中のDNA合成促進活性はトリプシン処理により完全に失活したが、熱に対しては部分的にその活性が低下した。この結果より、この上清中にIL-1様物質の存在が示唆されたので、この上清中の活性が抗ヒトIL-1抗体により阻害されるか否かを検討した。抗ヒトIL-1αおよび抗ヒトIL-1β家兎血清(大塚製薬株式会社、平井嘉勝博士より供与)を添加したところ、抗ヒトIL-1α血清を添加した場合のみ部分的に活性の低下が認められた。骨吸収活性に関しても、その活性は熱により部分的に低下した。恐らく骨吸収活性においても扁平上皮癌の産生するIL-1αがかなりの関与をしているものと考えられた。これらの成績はPF86-1を用いた培養系が扁平上皮癌の産生する生物活性物質の解析に極めて有用であることを示唆しており、この系を用いることによって今まで知られていなかった扁平上皮細胞の特徴が見出される可能性があるものと考えられた。
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