1989 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の新しい診断ならびに治療法の開発に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
63570933
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
堀越 勝 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00014283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力丸 浩一 東京医科歯科大学, 歯学部助手 (40220800)
草間 幹夫 東京医科歯科大学歯学部, 助手 (60124690)
岩佐 俊明 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10107302)
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Keywords | 口腔癌 / 扁平上皮癌 / ヒト上皮成長因子 / 浸潤モデル / インタ-ロイキン1 / サイトカイン / 骨吸収 / 副甲状腺ホルモン関連蛋白質 |
Research Abstract |
口腔癌の90%を占める扁平上皮癌は一般の細胞と異なり上皮成長因子(EGF)により特異的に増殖の抑制を受けることが知られている。ヒトEGFがこの作用を発現するためには3個の分子内S-S結合によって生じるル-プの中でアミノ末端より3番目のル-プが重要であることが示唆された。ヌ-ドマウス移植癌に対するヒトEGFの影響に関する研究は現在進行中であり、結論は出ていないがin vitroでの現象とin vivoでの現象を比較するうえで研究を継続する必要がある。 線維芽細胞組込みコラ-ゲンゲルを用いた口腔癌の浸潤モデルを開発した。この系を用いることにより癌細胞の浸潤には、癌細胞のみならず間質構成細胞である線維芽細胞の関与が重要であることが示唆された。また浸潤様式は細胞株の種類によって個性が存在し、その特徴はその細胞が樹立された患者における組織像のそれと類似していた。このことはin vitroの研究を更に進めることにより癌組織での病態を細胞生物学的に解析することができるということを示している。 口腔癌細胞の無蛋白培養系を開発し、この細胞の産出する生理活性物質の解析を行った。昨年までの研究により口腔癌細胞がインタ-ロイキン/α(IL-/α)を産生していることを見出したが、実際にはIL-/βも産生していること、しかしIL-/αが培地中に分泌されるのに対し、IL-/βは細胞質中に蓄積され、分泌されないことがわかった。このことはIL-1の役割を考えるうえで非常に重要なことと思われ、更にこれに関する研究を進める必要がある。またマウス頭頂骨を用いた骨吸収促進活性を指標とした系により、口腔癌細胞が数種の骨吸収促進物質を分泌していることを見出した。この一部はIL-/αであり、その他に副甲状腺ホルモン関連蛋白質を産生している可能性があることがわかった。口腔癌細胞の産生するサイトカインに関する多くの新しい知見が発見されつつある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Matsumoto K: "A study of an in vitro model for invasion of oral squamous cell carcinoma" J.Oral.Pathology and Medicine. 18. 498-501 (1989)
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[Publications] Tadokoro K: "Activation of oncogenes in human oral cancer cells:in novel codon13 mutation of c-H-ras-1 and condurrent amplification of c-erbB-1 and c-myc" Oncogene. 4. 499505 (1989)
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[Publications] 立川敬子: "口腔扁平上皮癌細胞の産生する骨吸収促進因子に関する研究" 日本口腔外科学会誌. 36. 1-15 (1990)