1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63580054
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
畑江 敬子 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (50156337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 美鈴 お茶の水女子大学, 非常勤講師
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Keywords | 養殖魚 / テクスチャー / 判別分析 / 官能検査 / 魚肉の物性 / マダイ表皮の色 |
Research Abstract |
栽培漁業の重要性は今後ますます高まると考えられる。しかし養殖魚に関しては一般に、天然魚に比べ脂っぽく身にしまりがない、テクスチャーが劣る等といわれている。これまで養殖魚の品質に関する研究は化学的成分を天然魚と比較した、呈味に関する研究にかたよっている。嗜好性の重要な要因であるテクスチャーに関しては殆ど研究されていない。テクスチャーが好まれない原因を知るためには先ず、養殖魚と天然魚の違いを主観的および客観的測定によって正確に把握し表現する必要がある。そこで本年は違いを表現する方法を検討し、それに基いて養殖魚と天然魚はどの程度差があるのか、その差の程度はいずれの魚種でも同程度であるのかを知ることを目的として実験を行った。 試料としてマダイ、ヒラメ、ハマチの養殖魚と天然魚の生及び一定条件で加熱した肉を用いて実験を行い、以下の結果を得た。マダイとハマチの養殖魚は天然魚に比べ背肉の脂質量が多かった。色はいずれの魚種も差があり、特にマダイ表皮は天然魚は赤色が強く養殖魚との差が著しかった。官能検査の結果、いずれの魚種も養殖魚と天然魚にはテクスチャーに差があり、天然魚の方が好まれた。背肉の物性は、硬さ、凝集性針入度、遠沈残渣、貯蔵弾性率および損失弾性率で評価し、加熱肉ではさらにドリップも測定した。得られた測定結果に多変料解析の判別分析を応用することで、魚肉の物性は物性判別値という1つの数値とすることができた。物性判別値の分布および判別比によって魚種ごとに養殖魚と天然魚との物性の差の程度を示すことができた。 結論として、養殖魚と天然魚の物性の差は魚種によって異なり、生ではハマチが最も大でマダイが次ぎ、ヒラメは差が小さくさしみとして遜色がないこと、加熱するとヒラメは最も差が大きくなり、マダイとハマチは生の場合より差が小さくなることが認められた。
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Research Products
(1 results)