1988 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞ピルビン酸脱水素酵素の生合成、構造形成、活性発現の遺伝子制御
Project/Area Number |
63580156
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小池 正彦 長崎大学, 医学部, 教授 (10039521)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦田 芳重 長崎大学, 医学部, 助手 (30185087)
小池 吉子 長崎大学, 医学部, 助教授 (80039619)
|
Keywords | ピルビン酸脱水素酵素 / ヒト / 遺伝子 / 生合成 / 構造形成 / 機能発現 |
Research Abstract |
生細胞ミトコンドリア(Mt)の主要呼吸燃料であるピルビン酸の酸化的脱炭酸分解反応を解媒するピルビン酸脱水素酵素複合体を構成する3種類の成分酵素は、核DNAにコードされた前駆体としてサイトゾールで生合成された後、Mtに輸送され、プロセッシングを受け、活性発現しているものと推定されているが、その全容は不明である。本研究は、本複合体の第一成分で、TPPを補酵素とし、α_2β_2サブユニット(鎖)構造をもつピルビン酸脱水素酵素(PDH)を中心に、全容解明を意図した。 最近、クローニング、塩基配列決定に成功したヒトPDHのα、β鎖cDNAを用い、まず各種発現ベクターとの組換え体の調製を試みた。すなわち、invitro発現ベクターであるpTZ18Rに組込み、invitro転写反応系を用いてα、βmRNAを調整し、HeLa細胞mRNAと、α、βcDNAをプローブとし、大きさを比較したが、よく一致していた。また、両mRNAの転写物は、HeLa細胞両mRNAが家兎網状赤血球溶血液を用いる無細胞タンパク質合成系中で産生するα、β前駆体と類似の大きさのポリペプチドを生合成することも判明した。α、βcDNAを原核細胞発現ベクターpKK223-3に組込みを試みたが成功しなかったので、pKK223-2のNco1切断部位に、α、βcDNAのシグナルペブチド領域の開始コードンより約10塩基'5側上流域にNco1リンカーを結合させた後、挿入することを検討中である。 私共がヒトα、βcDNAの塩基配列を発表後、ヘパトーム由来のαcDNAの塩基配列と比較すると、私共のαcDNAの510番目と511番目の塩基の間に93塩基配列が欠失していることが示唆された。この事実を確認するため、ヒト白血球ゲノムライブラリーから、α、βcDNAをプローブとしてα、β-ゲノムDNAのクローン化に成功し、塩基配列を解析中であるが、この93塩基配列断片はエクソンの一つで、包皮線維芽細胞培養中に93塩基欠失したαmRNAが生成されていることが判明した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kichiko Koike;S.Ohta;Y.Urata;Y.Kagawa;M.Koike: Proceedings of National Academy of Sciences of the United States of America. 85. 41-45 (1988)
-
[Publications] Masahiko Koike;Y.Urata;K.Koike;A.Tsuji;M.Moriyasu: Thiamin Pyrophosphate Biochemistry. II. 37-43 (1988)
-
[Publications] Kichiko Koike: Thiamin Pyrophosphate Biochemistry. II. 105-113 (1988)
-
[Publications] 小池吉子、浦田芳重、小池正彦: 生化学. 60. 861 (1988)
-
[Publications] Kichiko Koike;Y.Urata;M.Koike: The New York Academy of Sciences.
-
[Publications] Kichiko Koike;Y.Urata: The New York Academy of Sciences.