Research Abstract |
調査・整理した着想を念頭に置いて試作している独自のシミュレ-ション型のソフトウェアを教育現場で試用し,事前・事後テスト,及び意識調査の結果から,学習制御様式の観点で諸着想の効果を調べた。 1.調査・整理の結果から,シミュレ-ション型のソフトウェアには,教授,練習・演習,問い合わせ等の学習制御が統合され,学習効果の向上に寄与している大きな要因となっていることが分かった。そこで, 2.これらの学習制御様式を組み込んだ,マイクロ操作に基づいた低水準言語によるプログラミング教育用のシミュレ-ション型ソフトウェアを試作した。このソフトウェアは,構成要素間のデ-タ転送の実行,デ-タの流れや内部デ-タの表示,作成したプログラムの実行の機能を持つシミュレ-タ部が中心となる。さらに,このソフトウェアは,系統的な学習情報を提供する教授部,実習を中心とした学習の流れを制御する練習・演習部,学習情報をテキストや画像で提供する専門知識部,学習者の誤操作への助言の機能を持つ診断・処方部などが,シミュレ-ションによる学習者の比較的自由な学習を支援するところに特徴がある。 3.このソフトウェアを中学校の生徒,専門学校や学部学生の初心者を対象に使用した実験授業を行った。授業は,既に開発したモックアップ型のシミュレ-タを含めて,各部ごと,及び各部を併用した群別に行い,効果を比較した。その結果,シミュレ-タ部を用いた群は,モックアップを用いた群と同程度の効果を得た。一方,シミュレ-タ部に加えて教授部,練習・演習部,及びモックアップ部を併用した群は,補数を用いた減算のプログラミングの問題をはじめ,他の問題についても高い正答率を得た。意識調査の結果からも,学習者は単にシミュレ-タを実習の教具として与えられるだけではなく,教授,練習演習,専門知識,誤操作への助言などが統合された学習環境を望むことが明らかになった。
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