1988 Fiscal Year Annual Research Report
深層地盤におけるP・S波速度構造の推定法の確立とそれに基づく地震動予測
Project/Area Number |
63601008
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
狐崎 長琅 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (90025338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井川 猛 地球科学総合研究所 開発部, 次長
斉藤 徳美 岩手大学, 工学部, 助教授 (20113855)
後藤 典俊 室蘭工業大学, 助教授 (30027247)
堀家 正則 大阪工業大学, 講師
小林 芳正 京都大学, 理学部, 助教授 (80027284)
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Keywords | S波 / 地震工学 / 地震動 / 地震波速度 / P波 / 検層 / 地質要素 / 地盤 |
Research Abstract |
1.地震動を支配する地盤としては、主として沖積層からなる浅層にのみ従来注意が集中してきた。これ自体は自然なことではあるが、深層地盤の地震波特性への影響も無視できない。因みに深部の花崗岩相当層から、洪積層に至る間に、1/10ほどにS波速度は低下する。しかし深層地盤の地震波特性を直接的に探査することは、技術的にも経済的にもなお容易なことではない。そこで本研究では地震波特性として特に重要なS波速度を、他の関連情報から間接的に推定できるようにした。 2.まず、多数の石油孔井の検層資料を整理し、P波速度と地質要素との関連について、経験式を提示した。これによると、砂岩・泥岩等の岩層や深度、そして可能なら地質年代を与えると、標準的なP波速度を推定できる。次に、P波速度とS波速度との関係を、既存の孔井実験資料により整理し、これを同様な意図の文献資料とも対比し、経験式を設定した。このような深層のS波の実測例はもともと乏しく、とくにP波速度資料収集地域の日本海側には存在しない。そこで、秋田県内の深層熱水実験井を利用し、深度約1300mに及ぶ測定実験を実施し、先の経験式のデータを補強した。以上を総合すると、地質要素→P波速度→S波速度の推定路が通じたことになる。 3.深層地盤のS波速度分布の地震動評価における意義を明らかにするため、秋田県出羽丘陵内のいわゆるテクノポリスの立地域と目される堆積盆に於いて、ここを2次式モデルに近似し、垂直入射の地震波(SH波)に対する地表地震動けのシミュレーションを実施した。ここには先の深層熱水の実験井も立地しており、関連の地質や物理探査の資料も豊富である。この結果、堆積盆の中心域では、周辺域に比し地震動の振幅は3倍ほど大きく、震動継続時間も著しく長くなることがわかった。
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