1988 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス性ルテニウム化合物を用いる電解循環反応システムの開発
Project/Area Number |
63850172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳥居 滋 岡山大学, 工学部, 教授 (70032927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 勉 岡山大学, 工学部, 教務員 (50168473)
奥本 寛 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (90183251)
田中 秀雄 岡山大学, 工学部, 助教授 (60032950)
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Keywords | 間接電解酸化 / 二酸化ルテニウム / 四酸化ルテニウム / レドックス / Dーグルコース / シクロヘキサンジオン |
Research Abstract |
高原子価ルテニウムを電解系で循環再生させながら、アルコールやアミンなどを酸化する反応を実用に移すための反応条件の最適化を進めている。本年度は、Dーグルコースアセトニドを反応基質に用いて、相当するウロース体への酸化に及ぼす諸因子の影響の究明を行った。生成物は種々の医薬品、生物活性化合物のキラル合成中間体として用途は広い。しかし、分子内に酸に対して不安定官能基を有するので、反応条件に様々な制約を受け、また、対応するδーラクトン体へのオーバーオキシデーションも問題である。しかし、ルテニウム化合物/ハロゲンのレドックス系を用いる本間接電解法は、広いpH範囲で実施できるので、上記問題点の解決には有効である。詳細な条件の検討の結果、pHを約10に保ち、四塩化炭素/第三ブチルアルコール(9:1)混合溶媒系で、電流密度を10~40mA/cm^2に保ち、反応温度を20~40℃に設定し、二酸化ルテニウム(20mol%)を共存させて電解すると、目的物が約90%で生成し、δーラクトン体の副生は0.3%程度まで抑制することができた。シクロヘキサンー1,4ージオールからシクロヘキサンジオン体の合成では、基質が水溶性であるため、水溶液中と、有機層ー水溶液からなる2相系の双方での電解酸化を検討した。その結果、水溶液のpHは約4、電流密度は20~30mA/cm^2、2相系の場合、四塩化炭素ー飽和食塩水(1/2)の条件を用いると、ジケトン体が収率約94%、電流効率85%で生成した。 二酸化ルテニウムを電子担体に用いる反応の最適化と並行して、ルテニウム化合物にビピリジンなどの配位子で化学修飾を施し、多様な原子価状態のルテニウム化合物でアルコールを選択的に酸化する研究も行った。RuCl_3、[Ru(bpy)_2(CH_2)(PPh_3)]^<2+>を臭素酸ナトリウムと共に1級アルコールを酸化し、相当するアルデヒド体の製取に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sigeru Torii: Bulletin of the Chemical Society of Japan. 62. (1989)
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[Publications] Hideo Tanaka: Tetrahedron Letters. 30. (1989)
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[Publications] Hideo Tanaka: Tetrhedron Letters. 29. 1721-1724 (1988)
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[Publications] Tsutomu Inokuchi: Chemistry Express. 3. 623-626 (1988)
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[Publications] Sigeru Torii: Chemistry Letters. 1977-1978 (1988)
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[Publications] Sigeru Torii: "Topics in Current Chemistry,Vol.148" Springer-Verlag,Berlin Heidelberg, 153-194 (1988)