1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63850179
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Research Institution | University of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
北尾 悌次郎 大阪府立大学, 工学部, 教授 (10081324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 隆 太陽誘電(株), 基礎研究部, 副主任研究員
中澄 博行 大阪府立大学, 工学部, 講師 (00109878)
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Keywords | 光記録材料 / 機能性色素 / ニッケル錯体 / イオンプレ-ティング法 / 近赤外吸収色素 / X線構造解析 |
Research Abstract |
ジチオレン系ニッケル錯体を有機光ディスクの記録層に用いる場合、重要となる有機溶媒に対する溶解度と構造相関について検討を行い、さらにフォトクロミック材料としてのジチオレン系ニッケル錯体の基本特性についても検討し、次のような成果が得られた。 1.ビス(ジチオベンジル)ニッケルのベンゼン環上の置換基が溶解度の向上に著しく影響を与えることが判った。特に溶解性に優れた誘導体のX線構造解析から、ベンゼン環とキレ-ト平面間の2面角が大きくなる、しかもベンゼン環と共平面を形成するような置換基が溶解度の向上に有効であるとの結論が得られた。 2.ジチオレン系ニッケル錯体を可逆的な光記録材料に応用するための基本特性を明らかにするために、ビス(ジチオベンジル)ニッケルの光還元反応、および、これら錯体の一電子還元体の光酸化反応について検討した。紫外光による溶液中でのこの光酸化反応は、良好な量子収率(約0.1)で進行し、PMMA基板でも同様な反応が生じることが判った。また、いくつかのニッケル錯体は、増感剤の存在下、可視光照射で光還元され、しかもその吸収波長が100nm程度シフトするところから、可逆的な光記録材料として応用可能な材料であることが判った。 3.ビス(ジチオベンジル)ニッケルはイオンプレ-ティング法で安定な蒸着膜が作成でき、しかもITO透明電極上にこのニッケル錯体を製膜した材料は電気化学的に可逆的な酸化還元反応を示すことが判った。 以上の研究成果は広く有機光記録材料関連分野への応用が期待されるとともに、高性能光記録材料用機能性色素材料の開発のための基礎的な知見を与えた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shigeru Watanabe: "Synthesis and Absorption Spectra of Nearーinfrared Absorbing Polymethine 1ーBenzothiopyrylium Dyes" J.Chem.Research(M). 546-586 (1990)
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[Publications] Shigeru Watanabe: "Synthesis and Absorption Spectra of Nearーinfrared Absorbing Polymethine 1ーBenzothiopyrylium Dyes" J.Chem.Research(S). 50-51 (1990)
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[Publications] Hisayoshi Shiozaki: "Mechanisms and Rate Constants for the Quenching of Singlet Oxygen by Nickel complexes" Bull.Chem.Soc.Jpn.63. 2653-2658 (1990)
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[Publications] 中澄 博行: "ジチオラートニッケル錯体の特性とその記録材料への応用" 染料と薬品. 35. 126-137 (1990)
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[Publications] 中澄 博行: "色素の退色劣化" 色材協会誌. 63. 677-684 (1990)
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[Publications] Hiroyuki Nakazumi: "Photooxidation and Photoreduction of bis(Dithiobenzil)ーnickels" J.Soc.Dyers Colour.