1990 Fiscal Year Annual Research Report
水田農業の地帯別大規模経営方式の設計と実現手法の開発
Project/Area Number |
63860028
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 照男 東京大学, 農学部, 教授 (60011847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 潔 東京大学, 農学部, 助手 (80202076)
秋山 邦裕 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 講師 (20167852)
八木 宏典 東京大学, 農学部, 助教授 (00183666)
大泉 一貫 東北大学, 農学部, 助教授 (00091661)
松木 洋一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (10102740)
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Keywords | 大規模水田農業経営 / 農業の企業形態 / 農業経営の複合化 / 農業法人 / 農業技術構造 / 農業のコンピュ-タ利用 / 家族経営の経営継承 / 農業の規模の経済 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我が国の農業を担っていく大規模水田農業経営の経営方式を地帯別に設計し、それを実現するための経営的、政策的諸課題を解明するとともに、合せてその実践的諸手法の開発を行なうことにある。この研究目的にそって、研究初年度の昭和63年では、大規模水田農業経営の現状を地帯別に分担して調査・分析を行なった。とりわけ近年大規模経営において法人化が重要な問題となっていることから研究課題に法人問題を取り入れた。研究2年目は引き続き、大規模水田農業経営の地帯別調査を継続するとともに、それらの実態調査に基づく理論的分析を行なった。そこでは「範囲の経済」概念を用いて大規模水田農業経営の複合化に関する興味深い知見が得られた。さらに技術特性分析でも大規模化につれて経営者の求める経営目標が発展的に転換していくなど実態調査のなかから大規模水田農業経営の発展論理に関する新しい考えをまとめることができた。研究最終年度の平成2年は研究のとりまとめにむけて研究を進めた。引き続き研究分担に基づいて実態調査を継続し、新しい動向を把握しながら、理論的分析を加えていった。その研究実績は355ペ-ジに及ぶ研究報告書にまとめられた。以上の研究実験を鑑みて、大規模水田農業経営の地帯別経営方式の把握については十分な成果を得ることができ、その意味で本研究の目的は相応に達成できたといえる。加えて規模の経済、複合部門との技術分析、経営管理、家族経営の経営継承、法人化等の分野において、従来研究をリ-ドし、また一新するほど新しい知見が得られたことも特筆されよう。しかしその一方で、大規模水田経営の事例は未だ少なく、またその経営展開も多様で変化が激しい。そのため地帯別経営設計、実現手法の開発の分析は完全にとりまとめるまでには至らず、部分的に留まらざるを得なかった。それは今後に残された課題である。
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