1988 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー脊髄血流測定と活動電位同時記録法による多元的脊髄機能警報システムの開発
Project/Area Number |
63870058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
辻 陽雄 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (90009449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 治雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (40135017)
加藤 義治 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00143850)
山田 均 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (80115196)
伊藤 達雄 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (50111422)
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Keywords | 脊髄虚血 / 脊髄血液 / 脊髄誘発電位 / 脊髄モニタリング / レーザー |
Research Abstract |
本年度分の研究費は当初の予定通りに使用され、現在までに以下の知見を得た。1.レーザー血流計を用いた脊髄血流測定:ネコにおいてレーザー血流計による脊髄背側の血流変化を経時的に測定することが可能にした。血流計は、わずかな動きに対して雑音が混入し測定値に乱れを生ずるため、開胸してネコの呼吸性の体動を減少させたり、血流計支持器の工夫が必要であった。ネコの左鎖骨下動脈と第1肋間動脈の間で大動脈を遮断すると、脊髄血流は第6〜9胸椎高位を境界としてその頭側では増加し、尾側ではほぼ消失した。ネコにおいては、上記の高位に脊髄血流の分水嶺が存在すると考えられた。脊髄圧迫局所での血流は、誘発脊髄電位に変化をきたさない程度の極く軽微な圧迫により消失を来たすため、脊髄圧迫障害に対しては、誘発脊髄電位と同次元での脊髄機能モニターとはなり得なかった。2.各種誘発脊髄電位の変化:ネコにおいて左鎖骨下動脈と第1肋間動脈の間で大動脈遮断を行い、電位変化を観察した。前項で示した如く、第6〜9胸椎より頭側では脊髄虚血はおこっておらず、それより尾側の脊髄が虚血に陥っている。最も早期に電位変化をきたしたものは、脊髄刺激と坐骨神経刺激により腰膨大部で導出される電位の潜時の遅い成分であった。これらの電位は、大動脈遮断後5分以内に消失した。これらの電位成分は、神経細胞体の活動をも反映していると考えられた。それに対し、潜時の短かい電位成分は神経線維の活動を示していると思われ、大動脈遮断後消失までに30分を要し、遮断解除後の回復も早期に起こった。興味深い結果が脊髄刺激による誘発脊髄電位にみられた。脊髄血流の分水嶺をはさんで刺激、記録電極を設置した場合に大動脈遮断中の電位変化が異なっていた。かくして脊髄虚血に対する各種誘発脊髄電位の感受性が異なる事から、血流も含めた多元的導出による脊髄機能の評価が可能と考えられ、続行中である。
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[Publications] 高野治雄,高桑一彦 他: 脊髄電気診断学. 10. 91-94 (1987)
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[Publications] 北川秀機,高野治雄 他: 脳波と筋電図. 16. 171 (1988)
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[Publications] 高野治雄,高桑一彦 他: 脊髄電気診断学. 11. (1989)
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[Publications] Kitagawa,H.;Itoh,T.;et al.: Spine.14. (1989)
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[Publications] Takakuwa,K.;Tsuji,H.;et al.: J.of Spin.Disord.2. (1990)
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[Publications] Takakuwa,K.;Tsuji,H.;et al.: J.Spin.Disord.2. (1990)
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[Publications] Takano,H.;Tsuji,H.;et al.: EEG Journal.