1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63870064
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森岡 亨 熊本大学, 医学部, 教授 (30040140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 次郎 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (60171633)
田上 正 熊本大学, 医学部, 助手 (60145323)
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Keywords | 体外循環 / 弁 / 人工肺 / 自動化 / 電子回路 / 呼吸管理 / 生命維持法 / ガス交換 |
Research Abstract |
模型人工肺を用い、ガス交換の補助をして呼吸不全患者の救命を図ろうとする体外式肺補助法extracorporeal lung assist:ECLAが、極限にきたベンチレータ療法の救命率打開のための新しい呼吸管理法として各国で研究され始めている。しかしわが国では、呼吸不全治療にも、開心術用装置を流用している施設が多いために生体への侵襲が大きく、救命成績が良くない。我々は従来ベンチレータ製作の過程で蓄積した知識と経験を生かし、呼吸循環管理のための長期間使用可能な安全で確実なECLA装置を開発しようとした。省力化のために電子回路応用による送血量コントロールシステムや血液の保温機構、吸引による人工肺のガス交換法などを備えたECLA装置のプロトタイプを作ったが、ピストン型ポンプ自体の作動が不良であったため次年度にわたって改良中である。中空糸型外部灌流方式人工肺内血液に、往復運動による攪拌を加えガス交換を改善すべく、電子回路を設計し、そのプロトタイプを作製しえた。 ピストン型ポンプで血液を灌流させるために回路内に用いられる極めて小型の膜様弁の試作を反復し、ようやく最終案に達しえた。これができあがれば、所期の体外循環回路を構成する最終段階に入れるが、最も単純なこの弁の開発に予想外の月日を要した。近く各部分がそれぞれ完成に向かうので、次年度からは、安全、耐久試験、動物実験まで漕ぎつけうる予測が立っている。 なお本器の試作を進めながら、在来の機種による動物実験を重ねて体外循環技術を維持し、従来の呼吸循環管理法でなら絶対助かるはずのないような重症の新生児呼吸不全症候群や開心術後低心拍症候群の患者の中から3名を救命できた。本器の完成で、どこででも安全な長期体外循環ができるようになれば、重症患者の救命率を著しく向上できると期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森岡亨: 臨床医. 14(5). 70-71 (1988)
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[Publications] 田上正 他: 呼吸と循環. 36(9). 999-1003 (1988)
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[Publications] 森岡亨: 医学のあゆみ. 146(11). 797-797 (1988)
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[Publications] Tadashi Tanoue;et al.: Journal of Aneshesia. 2(2). 124-132 (1988)
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[Publications] Kouji Tsuno;et al.: Journal of Aneshesia. 2(2). 242-246 (1988)
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[Publications] 森岡亨 他: 救急医学. 12(12). 1721-1728 (1988)