1989 Fiscal Year Annual Research Report
酵素的糖転移反応を用いた天然配糖体系甘味剤の高次利用に関する研究
Project/Area Number |
63870091
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 治 広島大学, 医学部, 教授 (30012595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 進 丸善化成株式会社, 開発研究員
北畑 寿美雄 大阪市立工業研究所, 研究主任
大谷 和弘 広島大学, 医学部, 助手 (20203820)
笠井 良次 広島大学, 医学部, 助教授 (10034018)
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Keywords | 甘味ステビオ-ル配糖体 / 酵素的糖転移 / 甘味剤 / ステビオシド / ルブソシド / 甘味構造相関 / シクロデキストリングルコシルトランスフェラ-ゼ / ガラクトシダ-ゼ |
Research Abstract |
前年度に引き続き、下記の研究を行い、当初の目的を達成することができたものと考える。 1.ステビオシドに対するCGTaseーでん粉系によるaー1、4ーグルコシル転移(以下CGT転移と記す)生成物のHPLCによる定量分析法を確立し、甘味質の優れた化合物をより多く生産するための条件について種々検討した結果、強力な包接作用をもつtubeimoside I(土貝母の環状サポニン)の共存がCGT転移を選択的に制御し、良質甘味剤の生成率を高めるのに有効であることが明らかにされた。 2.ルブソシドに対するCGT転移で、グルコ-ス(Glc)が1、2個転移した生成物の分離、構造決定、甘味試験については既に報告した。今回、Glcが3、4個転移した生成物の分離、構造決定に成功し、各化合物の甘味試験を行い、我々が考えてきた本系統の化合物の甘味構造相関を更に裏付ける結果をえた。 3.以上の研究で、本系統の配糖体の甘味の改良には、19ー位のGlcへの糖転移を抑え、13ー位の糖鎖のみを延長して、合計3〜4個とするのが必要なことが明らかにされた。この知見及びCGT転移の受容体特異性を基礎にして、19ーGlcの4位をCGT転移を受けないガラクト-スで酵素的にブロックすることを検討した。各種のガラクトシダ-ゼについて選択的ガラクトシル化を試み、Bacillus circulans由来のβーガラクトシダ-ゼを用い、乳糖を供与体とした糖転移で、酵素反応条件特に反応時間を制御することにより、ルブソシドの19ーGlcの4位を選択的にβーガラクトシル化することに成功した。本生成物にCGT転移を行い、その後βーガラクトシダ-ゼで処理して、13ー位の糖鎖のみが延長された良質甘味剤の選択的合成を完成した。 4.ステビオシド、レバウヂオシドーAにαートコフェロ-ルに対する溶解度促進作用を認めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 水谷健二: "Study on Improvement of Sweetness of Steviol Bisglycosides:Selective Enzymic Transglucosylation of the 13ーOーGlycosyl Moiety." Agricultural and Biological Chemistry. 53. 395-398 (1989)
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[Publications] 福永裕一郎: "Enzymic Transglucosylation Products of Stevioside:Separation and SweetnessーEvaluation." Agricultural and Biological Chemistry. 53. 1603-1607 (1989)
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[Publications] 北畑寿美雄: "Production of Rubusoside Derivatives by Transgalactosylation of Various betaーGalactosidases." Agricultural and Biological Chemistry. 53. 2923-2928 (1989)
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[Publications] 北畑寿美雄: "Production of Rubusoside Derivatives by Transgalactosylation of Various alphaーGalactosidases." Agricultural and Biological Chemistry. 53. 2929-2934 (1989)
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[Publications] 田中治: "ステビオ-ル配糖体の最近の研究:甘味と糖部構造との関係と良質甘味物質の酵素化学的合成" 月刊フ-ドケミカル. 73-78 (1989)
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[Publications] 田中治: "甘味ステビオ-ル配糖体のバイオインダストリ-" バインダストリ-. (1990)