2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアゾーム阻害下におけるユビキチン化蛋白質の除去機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | New aspect of the ubiquitin system : its enormous roles in protein regulation |
Project/Area Number |
15H01181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
垣塚 彰 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80204329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ユビキチン化 / オートファジー / 神経変性疾患 / 新規化合物 / 標的蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内で不必要もしくは異常になった蛋白質を除去するシステムとしてプロテアゾーム-ユビキチンシステムとオートファジーがある。当初、独立していると考えられた両システムであるが、現在では、両者ともユビキチン化蛋白質を選択的に除去することに貢献していることが判明してきた。一方、多くの神経変性疾患では、ユビキチン陽性の異常蛋白質の蓄積(凝集)が観察され、これらの異常蛋白質の蓄積は、両システムを「くぐり抜けた」結果であると推測される。即ち、この「くぐり抜け」を抑制する薬剤を開発できれば、多くの神経変性疾患の発症・進行を予防・遅延させることができると考えられる。 本研究では、まず、プロテアゾーム阻害剤と同時に処理した時に、ユビキチン化蛋白質の蓄積を消失させる活性を持つ低分子化合物の検索を行う。次に、同定した化合物の標的蛋白質の検索を行い、ユビキチン化蛋白質がプロテアゾーム阻害下に於いて選択的に除去される分子機構の解明を目指す。即ち、本研究は、ユビキチン化された蛋白質のプロテアゾームに依存しない選択除去というこれまでにあまり解明が進んでいない不要蛋白質の除去システムの分子メカニズムの実態に迫ることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、まず、プロテアゾーム阻害剤と同時に処理した時に、ユビキチン化蛋白質の蓄積を消失させる活性を持つ低分子化合物のスクリーニングを行った。結果、目的とする活性を持つ数種類の新規化合物を見いだした。この時、オートファジーの活性化を示すLC3IIのバンドの増強が認められたことより、これらの薬剤処理により、ユビキチン化を受けた蛋白質がオートファジーで消去されたことが示唆された。次に、野生型ユビキチン(Ub)、K29-Ub、K48-Ub、K63-Ub等を強制発現させた時のユビキチン化蛋白質の消失を検討した。結果、これらの化合物によるユビキチン化蛋白質の消失には、ユビキチン鎖による違いは観察されなかった。続いて、これらの化合物の標的蛋白質を同定するために、化合物と磁気ビーズを融合させ、化合物を結合させた磁気ビーズと共沈する蛋白質の同定を試みた。しかしながら、現在までに特異的に共沈してくる蛋白質の同定には成功していない。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテアゾーム阻害剤との併用によってユビキチン化蛋白質の除去作用を示した化合物を幾つかの種類の磁気ビーズに化学結合させ、プロテアゾーム阻害剤で処理した細胞(もしくは非処理の細胞)の抽出液と混合し、この化合物を結合した磁気ビーズに特異的に共沈してくる蛋白質をLC/MS/MSで分子同定する。続いて、同定した蛋白質に対する抗体、GFP融合蛋白質、siRNAを作製する。次に、細胞をプロテアゾーム阻害剤とこの化合物で処理した時の同定蛋白質の細胞内局在・動きを、アグレゾームとオートファゴゾームとの関係から抗体染色およびGFP蛋白質の動きから解析する。さらに、この蛋白質をノックダウンした時のアグレゾームの形成、オートファゴゾームの形成がどのように変化するのかを解析することで、同定蛋白質がユビキチン化蛋白質の消去にどのように関与するのかを明らかにする。
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Research Products
(10 results)