2017 Fiscal Year Annual Research Report
主体的価値の柔軟的適応に関わる神経回路の同定
Publicly Offered Research
Project Area | Science of personalized value development through adolescence: integration of brain, real-world, and life-course approaches |
Project/Area Number |
17H05928
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
松田 哲也 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (30384720)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 主体的価値 / 社会性 / human connectome |
Outline of Annual Research Achievements |
社会環境の変化に伴う行動の切り替えに関連する脳領域を特定するために、罰なし、罰ありの2条件の公共財ゲームの貢献額の差とマルチモダルMRIの画像をHuman Connectome Project(HCP)解析パイプラインで解析した結果との相関を調べることで検討した。 公共財ゲームは、罰なし条件、罰あり条件ともに1回のみ(one-shot)行った。各人に初期値として1,000円与え、各人は1,000円のうちいくらをグループのために支出するかを決めた。実験者は各人のグループのために支払われた貢献額を合計し、それを2倍して、全員に均等に配分するルールとした。手元に残した金額と、配分された金額の合計が、最終的な個人の報酬となるようにした。罰なし条件では、貢献額によるペナルティーはないが、罰あり条件では、集団のなかで最も貢献額が低い人に対して罰が与えられる。罰なし条件の貢献学と罰あり条件の貢献額との差額を算出し、この差額を切り替え程度とした。MRIは、T1、T2、resting state fMRIのデータを、HCP解析パイプラインを用いて解析し、脳を半球180領域(全脳360領域)に分割し、領域毎の灰白質の体積、厚さ、領域間のコネクティビティ、graph theoryを用いたネットワーク構造を算出した。 脳ネットワークの解析の結果として、灰白質体積、graph theoryの指標をL1正則化回帰分析により、全360領域の行動切り替え程度を予測するネットワークを抽出した結果、左前頭極(10d)の灰白質体積と正の相関が認められた。また、右背外側前頭前野(rDLPFC(8Av))と右側頭頭頂接合部(rTPJ(TPOJ3))のgraph theoryの次数(degree)と中心性(centrality)の両方の指標と行動切り替えの程度と正の相関が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
米国human connectome project(HCP)で開発された、MRI撮像法、解析パイプラインの設定が完了した。セットアップしたMRI撮像法で約250名のMRI画像を行い、また解析パイプラインで解析も行うことができた。また、経済実験による社会性の指標、認知機能指標も取得できており、現在その関連性について解析を行っている。当初計画では、初年度にデータ取得を目標にしていたが、解析まで行い予備的な結果を得られていることから、当初の計画以上に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの結果から、行動切り替えの程度と関連する脳領域として、左前頭極、右背外側前頭前野、右側頭頭頂接合部といった社会性に関連する領域が認められ、罰を避ける行動の切り替えには社会認知機能が大きく関わっていることが推測された。今後、指標間の関連性などについて解析を進めていく予定である。
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Research Products
(9 results)