2019 Fiscal Year Annual Research Report
Characteristics of shallow very low-frequency earthquake activity along the Nankai Trough based on the method incorporating effects of 3D heterogeneous structure model
Publicly Offered Research
Project Area | Science of slow earthquakes |
Project/Area Number |
19H04626
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武村 俊介 東京大学, 地震研究所, 助教 (10750200)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 南海トラフ / プレート境界 / スロー地震 / 浅部超低周波地震 / CMT解析 / 3次元不均質構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では南海トラフで発生する浅部スロー地震の網羅的な実態解明のために、観測記録の長い陸域観測網の記録と3次元不均質構造を考慮した地震動シミュレーションにより、浅部超低周波地震の発生位置、メカニズム解、継続時間や規模などをなるべく正確に推定することを考えた。 本年度は、南海トラフ域の現実的な地下構造を考慮したGreen関数を地震動シミュレーションにより合成し、それらを利用して2003年から15年分の浅部超低周波地震のCMT解析を実施し、長期的な活動度の空間変化を明らかにした。活動度の空間変化とプレート境界のすべり欠損速度と地震波速度構造を比較したところ、スロー地震(浅部超低周波地震)がフィリピン海プレート上面のすべり欠損速度が大きい領域の周囲、かつ地震波速度が遅い領域で活発に発生していることが明らかとなった。 また、より詳細なスロー地震の特徴を理解すべく、上記で得られたカタログを基に、相互相関解析を実施し、小さな浅部超低周波地震を検知するとともに、震央位置を再決定することで、それらの活動の時空間変化を明らかにした。個々の活動域での震源移動性を明らかにするとともに、浅部スロー地震活動はフィリピン海プレートの沈み込みによるせん断応力変化が大きく強度の強い固着域とせん断応力変化が小さい安定すべり域の間の遷移領域で活発に発生していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2003年から2018年までの15年分の浅部超低周波地震のCMT解析を行い、その活動量の空間的な特徴について論文をまとめ、Geophysical Research Lettersに掲載された。作成したカタログも公開している。また、相互相関解析により、より精緻な浅部超低周波地震の震央位置を推定し、それらの時空間発展から震源の移動性やプレート境界の不均質性との比較も行い、スロー地震発生域の特徴を明らかにした。これについてもGeophysical Research Lettersに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
陸域観測網で構築した浅部超低周波地震カタログは、15年と長大であるが震源から遠い陸域観測網のみでは、震源物理特性の把握が困難であった。そこで、浅部超低周波地震カタログに記載されているイベントの中で、海域に敷設されたDONETで記録の得られているイベントに着目し、浅部超低周波地震の震源物理特性の把握をし、発生域のプレート境界の摩擦特性のヒントを得る。具体的には、南海トラフの詳細な3次元構造を考慮したGreen関数を地震動シミュレーションにより合成し、そのGreen関数を用いて浅部超低周波地震の再解析を行う。海域観測網DONETと3次元不均質構造を組み合わせた再解析により陸域の観測記録では推定することが困難であった震源時間関数の推定を行う。加えて、浅部超低周波地震と同期して発生する浅部低周波微動についても震源時間関数の解析を行い、長周期から推定される地震モーメントと短周期のエネルギーの関係や、イベントの規模と継続時間の関係を明らかにする。
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