2021 Fiscal Year Annual Research Report
エアブリッジインダクタンスによる超伝導力学インダクタンス検出器の高感度化
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
20H05244
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
成瀬 雅人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10638175)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超伝導検出器 / 高エネルギー粒子検出器 / 力学インダクタンス検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は冷却コストのかかる超伝導検出器の動作温度を上げつつ高い感度を犠牲にしない手法としてエアブリッジ構造を検出器に導入し,その効果の検証を行うとともに,検出器性能を制限している超伝導内部の物理現象の解明も目標としている. 本年度は,昨年度世界で初めて動作を実証したエアブリッジを組み込んだ力学インダクタンス検出器の性能向上を目標として,検出器のインダクタンス部分におけるエアブリッジ比率を0.5%から30%まで高めた構造でデバイス作製を行った.デバイスはシリコン基板上に100 nm厚のニオブを用いて作成し,強度を確保するためにエアブリッジ部分のみニオブの厚さを500 nmとした.作製した素子はアルファ線源とともに1K冷凍機内部に設置することで,5.45 MeVのアルファ線信号を検出した.信号解析の結果,アルファ線がエアブリッジ部分と通常のインダクタンス部分のどちらに当たったかを分別ができた.さらにエアブリッジ部分で検出すると他のインダクタンス部分による信号と比べて,最大で15%程度のエネルギー分解能向上が見られた.これは,エアブリッジ部分は基板と接しているのがブリッジの両端に限定されるため,超伝導ニオブ内部で励起された準粒子と基板中のフォノンの相互作用が抑制され準粒子寿命の延長に成功した可能性を示唆している.現状はブリッジの長さが20um程度しかなく,50umを超えると歩留まりが著しく低下するため,ニオブの体積条件の見直しなどによって100umを超えるようなブリッジ作製が望まれる.以上のように,エアブリッジ構造導入による分解能向上とデバイス内部での物理現象を理解する手がかりを得た.
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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