2009 Fiscal Year Annual Research Report
格子QCDを用いたミュー粒子異常磁気モーメントの非摂動的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Research on the Emergence of Hierarchical Structure of Matter by Bridging Particle, Nuclear and Astrophysics in Computational Science |
Project/Area Number |
21105508
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新谷 栄悟 Osaka University, 理学研究科, 特任研究員 (70447225)
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Keywords | 素粒子論 / 格子QCD / 数値計算 / ミュー粒子 / 標準模型を超えた物理 |
Research Abstract |
本研究ではミュー粒子異常磁気モーメントの理論計算において必要になる光-光散乱ダイアグラムについて、格子QCDを用いた非摂動計算を行うことによって標準模型の精密検証を目指す。この研究によって、これまでのモデル依存性を排除した厳密な値が得られ、またその値を使えば標準模型を超えた新しい物理モデルのパラメータに厳密な制約をつけることができる。直接的に光-光散乱ダイアグラムを計算することは現計算資源では困難であるため、まず、第一近似計算として、光-光散乱ダイアグラムを2つのπ^0→γγ崩壊ダイアグラムに分解した形を用いることにする。π^0→γγ崩壊ダイアグラムは量子異常効果が重要な寄与を果たすことがカイラル摂動論から予言されていた。格子QCD上でも基本的な量子異常効果が低エネルギーにおいて実現できるか確かめることは、格子QCDの分野そのものにとっても興味深い。 平成21年度では、π^0→γγ遷移行列要素を、カイラル対称性を厳密に保つフェルミオン形式であるオーバーラップフェルミオンを用いてモンテカルロ計算を行った。JLQCDコラボレーションが生成するフレーバー数2をもつゲージ配位上で行列要素を抜き出した結果、クォーク質量ゼロ、かつ質量殻上の光子運動量において、カイラル摂動論が予想する量子異常効果を再現できることを確かめた。また、質量殻外の光子の伝搬関数としてベクター粒子で近似したVMDモデルをベースとした関数形を提唱し、1GeV^2程度の運動量まで格子結果をフィットできることを確かめることができた。
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