2021 Fiscal Year Annual Research Report
直鎖状ユビキチン代謝を制御する新規ケモテクノロジーによる疾患病態の抑制
Publicly Offered Research
Project Area | New frontier for ubiquitin biology driven by chemo-technologies |
Project/Area Number |
21H00291
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
及川 大輔 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20455330)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 直鎖状ユビキチン鎖 / 化合物 / 筋萎縮性側索硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ユビキチンのN末端を介した特殊な連結様式により形成される「直鎖状ユビキチン鎖(M1鎖コード)」は、NF-kBなどの炎症シグナルや細胞死を制御するユニークかつ希少なユビキチンコードとして、近年、大きな注目を集めている。本研究では、独自に開発した阻害剤を活用して、M1鎖コードの「産生」と「分解」を特異的に制御し、M1鎖コードが担う新たな生理機能と、その破綻に伴う各種病態形成の分子機序を明らかにする。具体的な化合物・分子標的として、M1鎖コードの「産生」を担うLUBACに対する特異的阻害剤として我々が独自に開発したHOIPINsを用いるほか、M1鎖コードの分解を担うOTULINに対する特異的阻害剤の開発を加速させ、「産生」と「分解」の両側面からM1鎖コードの代謝を制御し、その新規生理機能を探索し、関連する各種病態の発症・抑制メカニズムの解明を進める。 本年度、(i)HOIPINsを用いたケモテクノロジー解析と疾患モデル評価として、独自に開発したLUBAC阻害剤(HOIPINs)を利用して、タンパク質凝集体を伴う疾患群(プロテイノパチー)に対する抑制効果の検証を進めた。その結果、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子として知られるTDP43が、細胞質局在化に伴いLUBACと結合し直鎖状ユビキチン化されること、また、このM1鎖コードがK48型ユビキチン鎖と協調してTDP43の凝集体形成を亢進させる可能性を見出した。 また、(ii)OTULIN阻害剤の開発とケモテクノロジー解析として、各種in vitro解析やADME解析を含む共同研究から新たな知見を取得し、細胞膜透過性やOTULIN活性阻害能が大きく向上した候補化合物を取得することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発したLUBAC阻害剤(HOIPINs)を用いた解析から、TDP43の凝集体形成制御に対する新たな生理機能を明らかにすることが出来た。また、OTULIN阻害剤開発についても、細胞膜透過性やOTULIN活性阻害能が大きく向上した候補化合物を取得し、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策として、TDP43凝集体形成制御に対するM1鎖コードの寄与について引き続き生化学的な解析を進め、その分子機序を解明するほか、疾患モデルマウスを用いて動物個体レベルでの病態抑制効果についても検証を進める。また、OTULIN阻害剤開発についても、取得した候補化合物を中心にin vitro及び細胞レベルでの機能性を確認し、新たなM1鎖コードの生理機能、及び関連疾患病態の探索を進める。
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Research Products
(13 results)