2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性タンパク質αシヌクレインの構造生物学研究と機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113513
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
河田 康志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (40177697)
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Keywords | 天然変性蛋白質 / αシヌクレイン / GroES / アミロイド線維 / 構造変化 / NMR |
Research Abstract |
天然変性蛋白質と人工的に作り出した変性蛋白質の構造特性とアミロイド線維形成(コンフォメーション変化)について研究を行い,以下のような成果を得た。 1:天然変性蛋白質αシヌクレインのアミロイド線維形成 天然変性蛋白質として代表的なαシヌクレインはアミロイド線維を形成し,パーキンソン病を引き起こす。このアミロイド線維のコアー部位をペプチドレベルで同定した。さらに,このペプチドを利用して詳細なアミロイド線維形成を調べたところ,94番目のPhe残基がアミロイド線維の核形成に重要であることが判明した。全長のαシヌクレイン蛋白質でもこの結果が確かめられ,柔軟性に富む天然変性蛋白質の本質的な性質とアミロイド線維形成機構についての新たな示唆が示された。 2:変性させたGroES蛋白質の構造とアミロイド線維形成 変性剤で完全に変性させた分子量1万のGroES蛋白質の構造をNMRで調べると共に,そのアミロイド線維形成反応の初期構造を研究した。その結果,GroES蛋白質ははじめは完全に変性したランダム構造をとっているが,時間が経つとアミロイド線維核を形成する前に,Asn-Gly部位での主鎖から側鎖への転移が起こることを発見し,その構造転移がその後のアミロイド線維核形成を誘導していることが明らかになった。この構造変化は,天然変性蛋白質にも同様に起こっている可能性が示唆されており,今後,アミロイド線維形成に誘導される神経変性病の予防や治療に役立つことが考えられた。
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