2010 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル伝達系因子の離合集散を制御するDIXドメインの構造生物学
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
22121519
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
樋口 芳樹 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (90183574)
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Keywords | X線結晶解析 / 構造機能相関 / 離合集散の生物学 / DIXドメイン / Wntシグナル伝達 |
Research Abstract |
Wingless (Wnt)は分泌性細胞間シグナル伝達タンパク質で,線虫やショウジョウバエからヒトに至るまで生物種を越えて保存されており,細胞の増殖や分化・運動・初期胚発生時の体軸形域や器官形成等の重要な生物学的機能を制御する.Wntの細胞内シグナル伝達機構はAxinやβ-カテニンなど複数のタンパク質複合体により制御されている.本研究ではWntシグナル伝達経路の重要な3種類のタンパク質(Axin, Dishevelled (Dvl), Coiled-coil-DIX1 (CCD1))が有するDIXドメインの結晶構造を解明し,それぞれのホモおよびヘテロオリゴマー化の本質を理解する. 平成22年度は,CCD1-DIXドメインの大腸菌での発現系を構築し,精製・結晶化をおこなった.その結果,分解能3.0Åの回折データを収集することに成功した.セレノメチオニン置換体結晶をもちいて多波長異常分散法による位相決定を行い,R_<work>/R_<free>=24.8/28.9(%)まで精密化した.結晶の非対称単位中には5つのβストランドと1本のαヘリックスからなるユビキチン様構造をもつCCD1-DIXドメインが7分子含まれていた.これらの分子は,近接する分子間のβ2とβ4のストランド間で平行βブリッジ相互作用をして7回らせん状オリゴマーを形成していた.
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