2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hyper adaptive changes in spatial recognition
Publicly Offered Research
Project Area | Hyper-adaptability for overcoming body-brain dysfunction: Integrated empirical and system theoretical approaches |
Project/Area Number |
22H04785
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大須 理英子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60374112)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間的注意 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中などによって脳の右半球を損傷すると、視覚機能には異常が生じなくても、自身の左側の視空間に注意が向かない半側空間無視という症状が比較的高い頻度で現れる。数ヶ月で改善することも多いが、長期に残存した場合、左空間にあるものに「気づかない」ことによって日常生活に支障をきたす。様々な介入が試みられているが決定的な手法がないのが現状である。本研究では、空間への超適応的介入により、半側空間無視の改善に役立つ方法論と空間注意の神経機序に関する知見を得ることを目指す。本年度は、拡張現実(AR)技術を活用し、実空間を変換して提示するシステムを開発した。VRゴーグルの前面に、専用のカメラを装着し、被験者がみている実世界の映像をリアルタイムに処理しVRゴーグルのスクリーンに呈示することで、空間的に変換されつつも奥行きのある実世界を体験することができる。パラメータを調節することによって、左右の視野にどのような空間を提示するかを自由に設定することができる。半側空間無視患者が見落としがちな左視空間を含む全視空間を右視野に映し出すシステムを開発した。本システムを使用し、右視空間を無視する、脳卒中後の半側空間無視症例において、右視野に左空間も含めた全視野を提示して実験課題を実施するフィジビリティテストを行った。少数例であるが、通常の提示に比べて、右視野に全視空間を提示した場合に左空間への注意が促進される可能性が示唆された。また、健常者を対象とした実験では、主体的な運動が運動方向に対する注意を高めるかどうかを検証した。その結果、主体的運動は、受動的な運動追視と比較し、運動方向と一致しない空間への注意を促進することが明らかとなった。また、物体の運動主体感が低いときのほうが、運動方向に対する注意が促進される可能性が示唆された。この結果は、半側空間無視における注意促進訓練の開発に繋がるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19の5類移行後も、しばらくの期間、病院への部外者の来訪制限があり、患者例を対象とした実験については開始が遅くなったが、繰越により対応し、またシステム開発や健常者を対象とした実験を実施することで概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
VRゴーグルを使ったシステムについては、患者例を対象とした実験を促進する。また、現在準備を進めている、KINARMを使った空間制御実験について、藤田医科大において患者例を対象とした実験を実施する。
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