2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん微小環境における酸化ストレス防御機構の意義
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
23112502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 隆史 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70508308)
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Keywords | がん / ストレス / Nrf2 / ミエロイド系細胞 / 含セレン蛋白質 |
Research Abstract |
含セレン酵素群および転写因子Nrf2は酸化ストレス防御機構の中心的役割を担う。これまでの研究からNrf2ががん微小環境形成において重要な役割を担い転移抑制に働くことが新たに示唆された。特に、全身Nrf2欠損マウスではがん細胞転移が促進することが示唆されたが、ミエロイド系細胞における活性酸素種シグナルの関与が考えられたが未だ詳細は不明である。本研究はこの成果を発展させ、がん微小環境における酸化ストレス防御機構の意義を明らかにすることを目的とする。これを明らかにするために含セレン酵素群およびNrf2遺伝子についてミエロイド系細胞特異的な遺伝子改変マウスを各種作製し、ミエロイド系細胞とがん微小環境形成における酸化ストレス防御機構の役割を明らかにする。平成23年度ではミエロイド系細胞特異的含セレン蛋白質合成破綻マウス作製のためにその合成に必須なセレノシステインtRNA遺伝子の条件付き欠損マウスの作製に成功した。また、ミエロイド系細胞特異的Nrf2遺伝子破壊マウスについては、交配が順調に進んでおり、平成24年度にはがん細胞移植および解析まで進めることができると期待される。さらに、含セレン酵素群およびNrf2の両者の二重欠損マウス作製のための交配も開始した。これらの解析が順調に進み、がん微小環境におけるミエロイド系細胞における酸化ストレス防御機構の意義を明らかにすることができれば、含セレン酵素群およびNrf2の活性制御を標的とした新たなががん転移の治療につながるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主題であるミエロイド細胞特異的含セレン蛋白質の合成破綻マウスおよびNrf2欠損マウスの作製は順調に進んでいる。一方、Nrf2抑制因子であるKeap1の条件付き遺伝子破壊マウスについては、新たなマウス系統の入手を予定していたが、手続き等の問題から若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たなKeap1の条件付き遺伝子破壊マウスの入手が遅れていることについては、早急にその手続きを進めると同時に、既存の系統を用いた検討も行い、Keap1欠損によるNrf2活性化ががん細胞の転移抑制に働くかどうか検証を進める。
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