2012 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスの持続感染化、生体防御応答による慢性炎症発症機序の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
23114511
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, プロジェクトリーダー (10250218)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 持続感染 / スイッチング発現トランスジェニック / 治療的ワクチン / 組換えワクチニアウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)は200万人と感染者が多く、予後も悪い。HCV感染の大きな特徴として感染後80~90%の高率で持続感染化し、慢性肝炎、さらに肝細胞癌を発症することがあげられる。HCV感染ヒト肝臓組織ではHCVが持続的に複製し、ウイルスが完全には排除されず免疫寛容状態になっている。この免疫寛容獲得から破綻に至る機序を解明することを目的とする。 【研究内容】、HCV遺伝子をスイッチング発現するトランスジェニック(HCV-Tg)マウスを作製し、急性肝炎から慢性肝炎状態に移行し、肝細胞がんを発症させることに成功した。この慢性肝炎に対する治療ワクチンとしてHCV蛋白質組み換えワクチニアウイルス(HCV-rVV)を作製し、慢性肝炎状態のHCV-Tgマウスを用いてHCV-rVVの治療効果を検討した。その結果、HCV-rVV接種後1週で慢性肝炎の病態が改善し、肝細胞の膨化、索状配列の乱れ、脂肪変性、グリコーゲン変性といった組織異常の正常化がみられた。rVV接種後4週でrVV-N25接種群のみで肝臓HCV蛋白量が減少しており、肝臓内のNS2特異的CTL 数の増加が認められた。そこで抗CD8抗体および抗CD4抗体を予め投与した状態のマウスにrVV-N25を接種すると、どちらもHCV蛋白の減少はみられなくなった。このことから、rVV-N25のHCV蛋白の排除にはCD4およびCD8+T細胞が重要であることが示唆された。rVV-N25接種によりHCV蛋白の減少および慢性肝炎の組織像が著明に改善し、これは抗原特異的CTLの誘導のみならず肝臓内へのマクロファージの浸潤が抑制されTNF-aやIL-6の産生が低下したことに起因していると考えられた。これらの知見はrVV-N25が抗ウイルス作用だけでなく抗炎症作用も有することを認め慢性肝炎に対する治療的ワクチンとしての可能性が示された。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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