2023 Fiscal Year Annual Research Report
Creation and validation of an interstellar dust surface model by machine-learning molecular dynamics
Publicly Offered Research
Project Area | Next Generation Astrochemistry: Reconstruction of the Science Based on Fundamental Molecular Processes |
Project/Area Number |
23H03996
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
奥村 雅彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (20386600)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 非晶質 / 氷 / 機械学習 / 分子動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、星間塵表面の非晶質氷の原子スケール構造を分子動力学シミュレーションで再現し、その物性を解明することを目的としている。今年度は、量子力学に基づく第一原理計算の結果をガウス過程回帰で学習し、高速かつ高精度に原子の運動をシミュレートする「機械学習分子動力学法」を用いた研究を実施した。Vienna Ab initio Simulation Package (VASP)のオンザフライ学習機能を用いて、広範囲の温度における水のNPTシミュレーションの結果を学習させ、さらに、いくつかのタイプの結晶氷についても複数の温度においてNPTシミュレーションの結果を学習させた。そして、学習済みの機械学習ポテンシャルを用いて、訓練データを作成した系よりも大きな系を室温から100Kまで急冷し、非晶質氷の作成を試みた。その結果、非晶質的な構造の形成が確認され、さらに、比較的大きな空洞状の構造が見られた。古典分子動力学による先行研究では、空洞状の構造が形成されることが確認されており、この結果自体に問題はないと考えられた。しかし、シミュレーションの過程を詳細に調べたところ、急冷前の液体の状態においてすでに空洞状の構造が確認され、シミュレーションがうまくいっていないことがわかった。その一方、訓練データと同程度の大きさの系では問題は確認されなかった。さらに、オンザフライ学習過程におけるガウス過程回帰の情報を精査したところ、ガウス過程回帰で扱える訓練データ量を超えてオンザフライ学習が実施されていることがわかった。以上より、本シミュレーションで見られた異常な構造の形成は、機械学習ポテンシャルの訓練データの不足によるものであると結論づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究によって、十分な精度を持つ機械学習ポテンシャル作成のためには、当初の予想よりも多くの訓練データが必要であることがわかった。今回用いたガウス過程回帰は比較的少ない訓練データしか扱えないため、大量の訓練データに対応できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
人工ニューラルネットワークはガウス過程回帰に比べて多くの教師データを学習することができるため、用いる機械学習の手法を人工ニューラルネットワークに変更する。教師データについては、今年度の研究で十分な量が得られていると考えられるため、機械学習の手法の変更で問題が解決すると考えられる。
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